米9月小売売上高、前月比0.3%減―7カ月ぶりのマイナス成長

経済

2019/10/17 11:09

<チェックポイント>

●自動車・同部品や建築資材・園芸が全体を押し下げ

●8月実績、前月比0.4%増から同0.6%増に上方改定

●小売売上高の弱い結果受け利下げ圧力強まる

 米商務省が16日発表した9月小売売上高(季節・営業日調整後)は速報値ベースで前月比0.3%減の5256億ドルと、8月の同0.6%増(改定前は同0.4%増)から7カ月ぶりに減少に転じた。市場予想の同0.3%増も下回った。市場では雇用者数の伸びが9月雇用統計で減速したことも相まって、今後、個人消費も減速する可能性が高いとみている。

 前年比も4.1%増にとどまり、8月の同4.4%増(改定前は同4.1%増)より鈍化した。

 9月の内訳は、全13業種のうち、7業種で増加し、6業種で減少した。増加幅が最も大きかったのは、アパレルの前月比1.3%増(8月は同0.7%減)、次いで、家具の同0.6%増(同横ばい)、ヘルス・パーソナルケアの同0.6%増(同0.2%減)、オンライン小売の同0.5%増(同2.6%増)。一方、減少幅が最も大きかったのは百貨店の同1.4%減(同1.2%減)。次いで、建築資材・園芸の同1%減(同2.3%増)、自動車・同部品の0.9%減(同1.9%増)など。自動車は9月に多くの新型モデルが発表されたが、大幅な値引き販売が行われたことや、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ<GM>の労使協議の不調でストが1カ月近く続いて売上が低下していることが響いた。

 ガソリンスタンドはガソリン価格の低下を反映して前月比0.7%減と、前月の同1.3%減に続いて2カ月連続で減少した。

 全体の小売売上高から月ごとに変動が激しいガソリンスタンドと自動車・同部品を除いた実質の小売売上高は同横ばい(8月は同0.4%増)と伸びが減速した。

 さらに、ガソリンスタンドと自動車・同部品に加え、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比横ばいとなり、市場予想の0.3%増を下回った。これは7-9月期GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費が伸びないことを意味する。コア小売売上高はGDPを構成する個人消費支出の財支出に組み込まれる重要な指標となっている。ちなみに、4-6月期GDP伸び率(改定値)は、1-3月期の前期比年率換算3.1%増(確定値)を下回る2.0%増だった。

 今回の9月小売売上高が弱い結果を示したことを受け、統計発表後、長期金利の動きを示す10年国債利回りは統計発表前の1.754%から発表直後は1.735%と、0.019ポイント低下し、FRB(米連邦準備制度理事会)に対する利下げ圧力が強まったことを示した。市場はすでに次回10月29-30日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げを高い確率で織り込んでいる。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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