<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を据え置き―市場予想通り

新興国

2019/11/20 10:56

 ハンガリー中央銀行は19日の金融理事会で、すべての主要政策金利を据え置いた。市場の予想通りだった。

 政策金利のうち、ベース金利である3カ月物固定預金金利は過去最低の0.90%、同金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利はマイナス0.05%、上限を示す翌日物有担保貸出金利は0.90%、また、7日物有担保貸出金利は0.90%と、いずれも据え置かれた。

 中銀は16年3月に9カ月ぶりに利下げに踏み切り、同5月まで3会合連続で利下げしたが、同6月から据え置きに転じ、19年2月まで33会合連続で政策金利を据え置いた。翌3月に翌日物預金金利をマイナス0.15%からマイナス0.05%へ0.10ポイント引き上げ、他の政策金利を据え置いたが、4月からすべての政策金利を据え置いており、これで8会合連続となる。市場では20年末まで政策金利は据え置かれるとみている。

 中銀は会合後に発表した声明文で、現状維持の決定に関し、「10月のインフレ率が前年比2.9%上昇(9月は同2.8%上昇)、また、コアインフレ率(間接税率の変更の影響を除くため一定税率ベースでみたコアインフレ率)は同3.7%上昇(同3.4%上昇)となった」とした一方、「欧州経済が減速していることを受け、インフレ下ブレリスクが一段と強まっている」と前回10月会合時と同様にディスインフレ(物価上昇率の鈍化)懸念を示した。

 その上で、前回会合時と同様、「インフレ率は強い内需が(インフレを)加速させる一方で、弱い外需が物価上昇ペースを抑制する可能性は依然高いが、外部のディスインフレ要因により、コアインフレ率は19年末から徐々に3%上昇(物価目標(2-4%上昇)の中心値)の水準に収束していく」と予想。中銀の最大使命である物価、特にコアインフレ率の安定の達成の観点からは現状維持が望ましいと判断したとしている。

 今後の金融政策については、前回会合時と同様、「金融政策の決定は物価の安定の持続に重点を置き、引き続き金融緩和的な政策スタンスを継続する」とした上で、「金融政策の決定にあたっては、世界の主要な中銀が利下げを決定し、外部のマネタリー・コンディション(金融環境)が緩和的になっていることから、これがハンガリーの今後5-8四半期の金融政策の時間軸での物価安定の持続に及ぼす影響を考慮する。また、四半期インフレ報告書で示された今後のマクロ経済やインフレの見通しも十分に考慮し、慎重に対応する」とした。ただ、「インフレ見通しの今後の成り行きがさらなる金融政策措置を必要とするかどうかの決定要因になる」との文言を残し、利下げが必要になる可能性に含みを残した。

 次回の金融政策決定会合は12月17日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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