米19年12月住宅着工件数、前月比16.9%増の160.8万戸―市場予想上回る

経済

2020/1/20 9:42

<チェックポイント>

●一戸建てとアパートの大幅増で13年ぶり高水準に

●許可件数はアパート急減で9月以来3カ月ぶり低水準

●一戸建て完成件数、前月比で増加に転じ住宅供給不足懸念が後退

 米商務省が17日発表した12月住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比16.9%増の160万8000戸と11月の同2.6%増(改定前は3.2%増)に続いて3カ月連続で増加した。06年12月(164.9万戸)以来13年ぶりの高水準となり、市場予想の138万戸に対しても大幅に上回った。

 着工件数が増加したのは、月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)が前月比32%増の53万6000戸と11月の同1.9%減の40万6000戸から増加に転じた一方で、主力の一戸建ても同11.2%増の105万5000戸と11月の同3.8%増に続いて3カ月連続で増加したことが大きい。

 住宅ローン金利が低水準なことに加え、50年ぶりの低失業率と賃金の堅調な伸びにより住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が改善していることから、建築業者は18年11月から手ごろな価格帯の一戸建ての着工に重点を移している。今回の12月統計でも一戸建ては、全体の約6割を占める主力の南部が前月比11.3%増、中西部が同56.5%増と高い伸びを示した。ただ、全体の25%を占める西部は同5.2%減(11月は同10.7%増)、北東部は同7.7%減(同66.6%増)と、いずれも11月が急増した反動で減少した。

 一方、着工件数の前年比は40.8%増と急増し、前年水準を7カ月連続で上回った。アパート(5世帯以上)が同74.6%増、一戸建てが同29.6%増と急増した。この結果、19年全体(季節調整前)の着工件数は前年比3.2%増の128万9800戸となった。このうち、一戸建ては同1.4%増の88万8200戸、アパート(5世帯以上)は同7.8%増の38万8400戸だった。

 また、過去2カ月の着工件数の改定は計2万7000戸の上方改定となった。11月は前回発表時の136万5000戸から137万5000戸へ、10月も132万3000戸から134万戸へ、それぞれ上方改定となった。

 一方、先行指標である住宅建築許可件数はアパート(5世帯以上)と一戸建てが前月比でともに減少し、全体では前月比3.9%減の141万6000戸と3カ月ぶりに減少。市場予想の146万戸に対しても下回った。これは11月が同0.9%増の147万4000戸と、07年5月(149万3000戸)以来12年6カ月ぶりの高水準となった反動減とみられる。ただ、前年比は5.8%増と、11月から伸びが縮小したものの、6カ月連続で前年水準を上回った。

 一戸建ての完成住宅件数は前月比0.7%増の91万2000戸と増加に転じ、住宅供給不足懸念が後退した。全体の完成件数は、前月比5.1%増の127万7000戸。アパート(5世帯以上)が同19.4%増と急反発したことから、19年4月の133万戸以来8カ月ぶりの高水準となった。

 一戸建ての建築中件数は前月比1.9%増の53万4000戸、また、アパート(5世帯以上)も同1.9%増の64万6000戸となったことから、全体では同2%増の119万2000戸と、2カ月連続で増加し、高水準を維持した。この結果、10-12月期の建築中の月平均戸数(117万2000戸)が7-9月期の月平均114万6000戸を2.3%上回り、1月30日発表予定の19年10-12月期GDP(国内総生産)速報値の住宅投資部門を押し上げる見通しとなった。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ