<決算どう見る?>半導体装置は明暗、アドバンテスト好業績もスクリーン下方修正、機械セクターは軟調継続

株式

2020/1/30 8:22

 主要企業の決算が本格化し始めた。きのう29日は東証1部上場の40社超が20年3月期第3四半期(昨年10-12月)の業績を開示した。

 まず、明暗を分けたのが半導体製造装置のアドバンテスト<6857.T>とSCREENホールディングス(スクリーン)<7735.T>だ。市場予想を大きく上回る収益と受注高を叩き出したアドバンテスに対し、スクリーンは「ネガティブサプライズ」に当たる20年3月期計画の下方修正を発表した。

 半導体テスタ大手のアドバンテストの10-12月業績は連結営業利益が前年同期比143億円となった。収益が急激に膨らんだ前年同期(207億円)と比べると3割超少ないものの、市場予想(100億円前後)を大きく凌駕(りょうが)する。「SoC」と呼ばれる多機能集積回路向けテスターが、5G関連を中心に好調だ。

 受注高は729億円(前年同期比16.3%増)。拡大は4四半期ぶりで、前四半期比でも25%の大幅増となった。マーケットの期待値は600億円台だったとみられる。このうち、これまで低迷していたメモリーテスターが159億円(前年同期比2.8倍、前四半期比62.2%増)に急増した。20年3月期の営業利益予想は、従来の450億円から560億円(前期比13.4%減)に引き上げた。

 一方、スクリーンは20年3月期の営業利益の見通しを250億円から130億円(前期比56.1%減)に引き下げ、期末一括の配当予想も97円→46円に半減した。営業利益の市場予想の平均は260億円台半ばだったことを踏まえると、極めて厳しい内容だ。10-12月の営業利益は40億円(前年同期比7.0%増、市場予想は80億-90億円)。半導体製造装置の受注高は顧客要因による期ずれの影響で、前年同期比、前四半期比ともに3割前後少ない453億円にとどまった。

 機械セクターは軟調だ。FA(工場自動化)のファナック<6954.T>の10-12月の営業利益は前年同期比45.1%減の196億円。180億-190億円程度とみられる市場予想をやや上回ったものの水準は低く、受注高も1185億円(同16.6%減、前四半期比4.0%減)と伸び悩んだ。

 通期の営業利益の計画は従来の691億円から806億円(前期比50.6%減)に上方修正いている。ただ、会社計画はもともと保守的で、増額後の利益見通しは依然として市場予想(900億円前後)を下回る。中国市場の持ち直しや5G(次世代高速通信システム)需要の拡大により、20年1-3月(会社計画の営業利益は120億円、前年同期比58.9%減)が収益のボトムとなるかが注目される。

 日立建機<6305.T>の10-12月の営業利益は138億円(前年同期比56.6%減)。市場予想をおよそ100億円下回る。台風19号で被災したサプライヤーからの油圧部品の調達が滞った影響もあるが、海外市場も中国だけではなく北米、欧州で販売が不調だった。今期通期の計画(営業利益860億円、前期比26.4%減)は据え置いたものの、ハードルは高い。

 キヤノン<7751.T>は19年12月期決算を発表。営業利益は前々期比49.1%減の1747億円(計画は1880億円)となった。新興国を中心に市場が低迷し、デジカメも不振が継続。20年12月期は営業利益2300億円への回復を見込んでいるものの、「既存事業の縮小に対する経営対応は後手に回っている感は否めない」(SMBC日興証券)とシビアな見方がある。

提供:モーニングスター社

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