米19年10-12月期実質GDP、前期比2.1%増―市場予想上回るも個人消費は鈍化
2020/1/31 10:50
<チェックポイント>
●輸出と住宅投資、政府投資が全体をけん引
●住宅除く民間投資や在庫投資の大幅縮小が伸び抑える
●コアPCE物価指数は急減速―FRBの物価目標を大幅に下回る
米商務省が30日発表した19年10-12月期の実質GDP(国内総生産)・速報値は季節調整済みで前期比年率換算2.1%増と、前期(7-9月期)の2.1%増(確定値)と同じ伸びとなり、市場予想(1.8-2%増)を上回った。
主な内訳は、輸出が1.4%増と堅調な伸びを示した。また、これまで減少が続いていた住宅投資が住宅ローン金利の急速な低下を追い風に、7-9月期が4.6%増と7四半期ぶりに上向いたのに続いて、10-12月期もそれを上回る5.8%増と伸びが加速し、2期連続の増加となった。政府部門(政府消費支出と固定資本形成)は2.7%増と、前期の1.7%増を上回った。一方、全体の7割を占める個人消費は1.8%増と、7-9月期の3.2%増や4-6月期の4.6%増を下回った。また、住宅以外の民間投資は1.5%減(民間投資全体では6.1%減)と3期連続で落ち込んだ。
今後のGDP伸び率の見通しについて、FRBは19年12月11日のFOMC(米連邦公開市場委員会)時に発表した最新の経済・金融政策見通しで、19年を2.2%増と予測したが、20年は2%増、21年は1.9%増、22年は1.8%増、長期予想は1.9%増と、20年以降、減速を予想している。
一方、市場では20年は2.0%増を下回ると控え目の予想だ。特に、20年1-3月期は米航空・宇宙大手ボーイング<BA>の737MAX型機の生産縮小・停止や中国発の新型肺炎の感染拡大による世界経済の減速懸念などから、成長率の鈍化が予想されている。一部ではボーイングの影響はGDPを年率換算で0.50ポイント(約360億ドル)押し下げると指摘している。
今後の個人消費の先行きを占う意味で重視される可処分所得の伸びは、季節調整前で前期比年率換算3.1%増(季節調整後の実質では1.5%増)と、前期の4.5%増(同2.9%増)を下回った。一方、可処分所得に対する貯蓄の割合である貯蓄率も7.7%と、前期の7.8%を下回ったことから、今後、個人消費が鈍る可能性がある。
GDP成長率寄与度は、輸出が前期の0.11ポイントから0.17ポイントに上昇。政府部門も前期の0.30ポイントから0.47ポイントに上昇した。住宅投資は0.21ポイント(前期は0.17ポイント)、住宅投資を除いた民間投資はマイナス0.20ポイント(前期はマイナス0.31ポイント)となった。個人消費は前期の2.12ポイントから1.20ポイントに低下した。
PCE(個人消費支出)物価指数は前期比年率換算1.6%上昇と、前期の1.5%上昇から伸びがやや加速した。ただ、FRBが最も重視しているコアPCE物価指数(値動きが激しいエネルギーと食品を除く)は1.3%上昇(前期は2.1%上昇)に急減速し、FRBの物価目標の2%上昇を大幅に下回った。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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