<新興国eye>ブラジル中銀、全員一致で0.25ポイント追加利下げを決定―市場予想通り
2020/2/6 11:37
ブラジル中央銀行は5日の金融政策決定委員会で、景気を刺激するため、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.25ポイント引き下げ、過去最低水準の4.25%とすることを全員一致で決めた。市場予想通りだった。
中銀は18年5月、急激なレアル安が輸入物価を押し上げインフレを加速させるリスクが高まったとして、それまでの利下げ継続から現状維持に転換。19年6月まで10会合連続で現状維持を決めた。しかし、翌7月に景気回復ペースが鈍化する見通しが強まったため、18年3月以来1年4カ月ぶりに利下げに踏み切った。利下げは19年12月の前回会合に続いて5会合連続となる。
中銀は政策決定後に発表した声明文で、「基調インフレ率(コアインフレ率)は金融政策のタイム・ホライズン(20年と21年を含む時間軸)で物価目標(4%上昇)の達成が可能な水準で推移している」とインフレが抑制されるとの見通しを示した一方で、景気見通しについては、「最近の経済指標をみると、ブラジル経済は依然として、徐々に回復する過程にある」とし、前期合会合時と同様、インフレが抑制されていることから、景気刺激のため、追加利下げを決めたとしている。
中国湖北省武漢で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を背景にした世界景気の減速懸念については、「先行き不透明感が一段と強まった」としたものの、「先進主要国の金融政策を通じた景気刺激が新興国経済に好ましい環境を与えている」とし、大きな懸念は示していない。
その上で、今後の金融政策については、前回会合時と同様、「現段階の景気サイクルは今後の金融政策は慎重に進める必要性が示されている」とした上で、「ブラジル経済の今後、特に21年の景気動向や景気見通しに対する上ブレ・下ブレの両リスク、さらにはインフレ予測とインフレ期待によって、今後の金融政策が決まる」と述べている。
ただ、今回の会合では、「19年7月から始まった利下げサイクルの景気刺激効果が遅れて現れることを考慮し、金融緩和プロセス(利下げ)を一時休止することが適切と考えられる」との文言を新たに追加し、前回の会合時に比べ、利下げ休止の可能性を明示した。市場では通貨レアル安が進行していることや、それにより輸入物価が押し上げられインフレが加速するリスクが高まっていることから、次回3月会合では追加利下げは困難とみており、現状維持を予想している。
中期のインフレ見通しについて、「インフレの見通しに対するリスクは両方向に存在する」とした上で、「経済の不活発による高水準のたるみ(生産設備や労働力などの余剰)はインフレ下ブレリスクとなる一方で、金融政策(利下げ)による景気刺激はインフレ上ブレリスクとなる。利下げがさらに進めば、また、経済の改革や調整の継続意欲が挫かれるか、新興国経済の先行き見通しが悪化すれば、この上ブレリスクはさらに高まる」としている。
次回の金融政策決定会合は3月17-18日に開かれる予定。
<関連銘柄>
ボベスパ<1325.T>、iSエマジン<1582.T>、上場MSエマ<1681.T>、
iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>
提供:モーニングスター社
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