<新興国eye>ブラジル中銀、0.75ポイント追加利下げ―当面は金利据え置を示唆

新興国

2020/5/7 11:32

 ブラジル中央銀行は6日の金融政策決定委員会で、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界流行)の悪影響を抑制し、景気を一段と刺激するため、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.75ポイント引き下げ、過去最低水準の3.00%とすることを全員一致で決めた。市場予想コンセンサスは0.50ポイントの引き下げだったが、想定外の大幅利下げとなった。

 中銀は18年5月、急激なレアル安が輸入物価を押し上げインフレを加速させるリスクが高まったとして、それまでの利下げ継続から現状維持に転換。19年6月まで10会合連続で現状維持を決めた。翌7月に景気回復ペースが鈍化する見通しが強まったため、18年3月以来1年4カ月ぶりに利下げに踏み切った。利下げはコロナ危機による景気悪化懸念が強まる中、前回3月会合に続いて7会合連続となる。

 中銀は政策決定後に発表した声明文で、大幅利下げを決めたことについて、「ブラジルの経済活動を示す3月のデータは新型コロナウイルスのパンデミックの悪影響の一部だけを反映していたが、4月のデータはブラジル経済が前回の会合で予想した以上に大幅に縮小する見通しを示すようになった」とし、追加利下げにより、パンデミックのブラジル経済への悪影響を一段と抑制する必要があるとの認識を示した。

 インフレの見通しについては前回会合時と同様、「基調インフレ率(コアインフレ率)は金融政策のタイム・ホライズン(20年と21年を含む時間軸)で物価目標(4%上昇)の達成が可能な水準で推移している」とした。

 パンデミックによる経済への悪影響については、「パンデミックが世界景気を大幅に減速させ、原油などのコモディティ(国際相場商品)の下落や(株や債券などの)資産価格を大きく変動させている」とした上で、「こうした世界経済の先行き見通しは(ブラジルなどの)新興国にとって深刻な問題となる」とブラジル経済への悪影響が予想されるとの判断を据え置いた。

 今後の金融政策については、「2人の委員が21年の物価目標の達成が困難となる可能性を減らすため、金融緩和による景気刺激を直ちに実行することが適切との考えを示した」と指摘した。

 ただ、大方の委員は「現在の経済情勢は大規模な景気刺激が必要であることを示すが、金融政策の調整(追加金融緩和)の余地が今後狭められる可能性がある」、「財政出動による景気刺激の道筋が21年も維持されるかどうかが景気刺激の期間を決める大きな要因となる」とした上で、「次回の金融政策決定会合では、コロナ危機に対する金融政策の対応として、今回よりも大きくない程度で、最後の金融調整を行うことが適切であると考える」と今後は当面、金利を据え置く考えを示唆した。

 次回の金融政策決定会合は6月16-17日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、iSエマジン<1582.T>、上場MSエマ<1681.T>、

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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