トヨタがきょう決算発表―新年度は営業益1兆円減でも織り込み済みか、試されるリスク対応力
2020/5/12 9:07
きょう12日にトヨタ自動車<7203.T>が20年3月期の決算を発表する。日本企業への新型コロナウイルスの影響と今後の見通しが注目される中、同社のリスク対応力の真価が試される。
<「1.47兆円」が市場予想下限に>
同社は午後1時10分に前期決算を発表する。2月の段階で連結営業利益は2兆5000億円(前々期比1.3%増)を見通していた。新型コロナによる販売台数の減少や工場の操業停止の影響が本格化する前のため、同社が営業利益2兆4000億円前後を確保したとみる向きが多い。
21年3月期は第1四半期(4-6月)から新型コロナが直撃する。野村証券は同四半期の営業利益が前年同期(7420億円)の10分の1程度に落ち込むとみる。通期ベースの営業利益は20年の世界全需が前年比で16%減少することを前提に、同証券の前期見込み比約4割減の1兆4696億円を予想している。
大和証券も21年3月期のトヨタの営業利益について、前期会社計画比で1兆円レベルの悪化を想定。野村証と同水準の1兆4700億円と予想した。このあたりがマーケットコンセンサスの下限となってきそうだ。ゴールドマン・サックス証券は1兆7700億円とやや高い目線となっている。
<自社株買い断行なら好材料視>
株主還元に関しては、同社が継続的に実施してきた自社株買いを21年3月期は凍結するとの見方が強い。一方、配当については20年3月期(期末未定、19年3月期は年間220円)並みを維持する期待が市場にあるようだ。また、岡三証券はリポートで、リーマン・ショックや東日本大震災後のように、トヨタのグループ再編が加速すると指摘している。
決算に対する株価反応は、直近までの主力銘柄の傾向を踏まえると「アク抜け」の動きも見込まれる。21年3月期の業績予想が開示されるのであれば、少なくとも1兆4700億円レベルまでの低下は織り込まれていると考えられる。自社株買いが打ち出されれば「ポジティブサプライズ」となり得る。配当については同社は例年未定にしている。
「ネガティブサプライズ」となるのは、20年3月期の営業利益が市場予想に反して大きく計画を下回り、21年3月期の見通しも示せないようなケースか。この場合は自社株買いがあっても好反応を示しにくくなる。なお同社は午後1時15分から、ウェブサイトで決算説明会をインターネット中継する。
提供:モーニングスター社
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