(再送)<新興国eye>トルコ中銀、0.50ポイント追加利下げ―9会合連続

新興国

2020/5/22 12:32

 トルコ中央銀行は21日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界流行)によるトルコ経済への悪影響を緩和し、引き続き景気回復を支援するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を0.50ポイント引き下げ、8.25%とすることを決めた。市場の予想通りだった。

 利下げ幅については、中銀が4月30日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、20年末時点のインフレ見通しを従来予想の8.2%上昇から7.4%(21年末時点では5.4%、中期的には約5.0%)と、大幅に下方修正したことから、市場の大方は0.50ポイント(予想レンジは0.25-1.00%)の利下げを予想していた。

 これまで中銀は景気刺激を狙って、19年7月に15年2月以来4年5カ月ぶりの利下げ(4.25ポイント)に踏み切り、その後も同9月に3.25ポイント、同10月は2.50ポイント、同12月は2.00ポイント、20年に入っても1月に0.75ポイント、2月も0.50ポイントと利下げ幅を縮めながら利下げを継続した。しかし、パンデミックの悪影響が強まった3月と前回4月の2会合で、いずれも1.00ポイントの大幅利下げを決めた。今回の会合で9会合連続の利下げとなり、利下げ幅も19年7月以降で計15.75ポイント、年初来では3.75ポイントに達した。

 中銀は追加利下げを決めたことについて、「4月のトルコ経済はパンデミックの悪影響を受け、一段と悪化したものの、5月前半はロックダウン(都市封鎖)の緩和による経済活動の再開により、景気が底打ちしたとみられる兆候が出てきた」とした上で、「これまでのわれわれによる金融緩和政策と政府による財政刺激政策が今後、金融市場の安定やパンデミック収束後の景気回復に寄与する」と追加利下げによる景気支援の継続の必要性を示した。

 インフレの見通しについても、前回会合時とほぼ同様、「(パンデミックの悪影響を受け)インフレ期待や内需はコアインフレ率の上昇を抑制しており、また、通貨トルコリラの最近の下落やコモディティ(国際相場商品)、特に原油や金属の価格下落が(インフレ下ブレ圧力となり)国内のインフレ見通しに好ましい影響を与えている。今年下期(7―12月)は総需要の減少によるディスインフレ(物価上昇率の鈍化)圧力が一段と強まる」との見方を示した上で、「インフレ加速の兆しが見られないことが今回の大幅利下げを可能にした」としている。

 今後の金融政策の見通しについては、前回会合時と同様、「ディスインフレのプロセスを持続的に維持することがソブリンリスク(国の信用リスク)を抑え、長期金利の低下、さらには景気回復を強める上で重要なカギを握る」とした上で、「ディスインフレのプロセスを維持するには、今後、慎重な金融政策運営が必要となる。こうした観点から、金融政策のスタンスはディスインフレのプロセスが続くようコアインフレ率の指標をよく見て決められる。物価と金融市場の安定を目指し、あらゆる手段を講じていく」との考えを示した。

 これは今後の利下げは小幅でゆっくりとしたペースで進むことを意味し、市場ではトルコ経済がパンデミックの悪影響によるリセッション(景気後退)懸念が依然として強いため、今後も利下げを継続するが、利下げ幅は小幅なものになると見ている。

 次回の金融政策決定会合は6月25日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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