米1-3月期GDP、前期比1.1%増―市場予想下回る

経済

2023/4/28 9:12

<チェックポイント>

●民間投資が減少―金利上昇で企業支出が抑制

●個人消費は堅調、輸出拡大、政府支出が成長率を下支え

●コアPCE物価指数、前年比4.9%上昇

 米商務省が27日に発表した1-3月期実質GDP(国内総生産、季節調整済み)・速報値は、前期比年率1.1%増と3期連続で拡大したが、前期(22年10-12月期)の同2.6%増から伸びが大幅に鈍化し、市場予想の平均値である1.9%増にも届かなかった。

 GDP全体の約7割を占める個人消費は3.7%増と、前期の1.1%増から伸びが加速したほか、輸入以上に輸出が伸びた外需や、ウクライナへの軍事支援で国防費などが伸びた政府投資がプラス成長に寄与したが、民間投資(企業投資と住宅投資)が0.4%減と4期連続の減少となった。金利の上昇で企業支出が抑えられており、企業投資は0.7%増と、前期の4%増から伸びが大幅に減速。住宅投資は4.2%減と、前期の25.1%減から改善したが、8期連続の減少となった。

 一方、今後の個人消費の先行きを占う意味で重視される可処分所得の伸びは、インフレ調整前で前期比年率換算4.8%増と、前期の同3.9%減から増加に転じた。また、インフレ調整後では2.3%減となったが、前期の同10.6%減からは大幅に改善した。他方、可処分所得に対する貯蓄の割合である貯蓄率は4.8%と、前期の4%を上回り、2期連続で上昇した。

 インフレ動向を示すGDPデフレーターは、前期比年率換算で4%上昇と、前期の3.9%上昇や市場予想の3.7%上昇を上回った。一方、PCE(個人消費支出)物価指数も4.2%上昇と、前期の3.7%上昇を上回り、4期ぶりに伸びが加速した。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が最も重視しているコアPCE物価指数(値動きが激しいエネルギーと食品を除く)も4.9%上昇(前期は4.4%上昇)と、伸びが4期ぶりに加速。22年1-3月期(5.6%上昇)以来の高い伸びとなった。

 市場では、FRBによる利上げの影響が浸透し始め、米経済の拡大ペースが鈍化の兆しを示していると見ている。今後の米経済の見通しについては、今回のGDP統計では個人消費が高い伸びとなり、全体を下支えしたが、市場では、金利高で長続きはしないとみており、住宅投資や企業投資が弱いことに加え、最近の銀行危機による融資規制の強化により、年後半に緩やかなリセッション(景気後退)に陥る可能性が高いと見ている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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