<飛翔期待のお宝株>芝浦機械は豊富な受注で利益急拡大―ダブル、トリプルバガー狙う

株式

2023/5/22 16:03

 外国人投資家の旺盛な買いにより、今期の減益を予想する企業であっても株価が上昇するケースが目立つ。東京エレクトロン<8035.T>や新光電気工業<6967.T>、ソニーグループ<6758.T>などがその例だ。値動きの良さに飛びつきたくなるのも当然の心理だ。しかし、相場はいずれ業績に収れんするに違いなく、長期で安心して保有できる銘柄を選びたい。そうした観点から、今回は芝浦機械<6104.T>を紹介する。

―好業績予想に確かな裏付け―

 工作機械メーカーの同社が15日に発表した前3月期連結決算は、売上高が1232億円(前々期比14%増)、営業利益が58億円(同36%増)となった。不動産売却による特別利益もあり、純利益は64億円(同73%増)に膨らんだ。

 収益拡大の勢いはさらに加速し、今期は驚愕(きょうがく)の成長が視野に入る。会社計画は売上高が1800億円と前期を46%上回り、営業利益は2.6倍の150億円を予想。引き続き発生する不動産売却益により180億円(前期比2.8倍)を見込む純利益(1株当たり745円)は、この一過性要因を差し引いても1株当たり400円を上回る(前期1株利益は267円)。

 この大幅増益予想には、しっかりとした裏付けがある。同社の受注残は前期末時点で2092億円(前々期末比49%増)に上る。これは売上高を優に上回る水準だ。前期は中国のゼロコロナ政策で納期に遅れが発生したにもかかわらず1230億円を売り上げたことを踏まえると、同国の経済活動の正常化に伴い、今期はよりスムーズに収益計上が進むと考えられる。

―EV市場とらえる電池製造装置―

 受注のけん引役は、リチウムイオン電池向けセパレータフィルム(BSF)製造装置。同社のIR(投資家向け広報)は、EV(電気自動車)関連投資は世界が景気後退に陥っても減少しない分野だと自信を示し、今後も生産拡大が続くとみている。

 実際、世界のEVシフトの流れに衰えはなく、国内外を問わず自動車メーカーや主要サプライヤーが設備投資を強化している。特に電池の増産は著しく、芝浦機械の海外売上も米国や中国、インドで長期的に伸び続ける公算だ。また、日本もこれからEV投資が本格化する。トヨタ自動車<7203.T>は2030年までに5兆円を投じる方針だ。

 芝浦機械の株価はサプライズ決算を受けて、17日には4235円の高値を付けた。その後は短期急騰の反動売りが出ているものの、押し目を拾う買いも活発な様子。19日の終値4120円は、不動産売却益を控除した今期1株利益の会社計画ベースでPER10倍弱にとどまる。一見すると時価総額が近い工作機械株とさほど変わらないが、BSF製造装置は他社にはない成長性を秘めた製品だ。

 また、総還元性向を意識し機動的な自社株買いを実施する姿勢であり、株価には大きな評価余地が残る。いずれは06年の上場来高値7425円(調整後)を目指す展開が期待される。

提供:ウエルスアドバイザー社

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