<新興国eye>ハンガリー中銀、3会合連続で上限金利を1ポイント下げ―ベース金利は据え置き

新興国

2023/6/21 8:56

 ハンガリー中央銀行は20日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を13.00%に据え置くことを決めた。他の主要政策金利はベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利も12.50%に据え置いたが、上限を示す翌日物有担保貸出金利を1.00ポイント引き下げ、18.50%とした。予想通りだった。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)以降、インフレ抑制のため、ベース金利の引き上げを継続。22年6月会合で1.85ポイント、翌7月12日の臨時会合で2.00ポイント、同9月会合で1.25ポイント引き上げた。同10月会合から据え置き転換、利上げは17会合連続で止まったが、利上げ幅は計12.40ポイントに達し、金利水準も99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となっている。ベース金利の据え置きはこれで9会合連続。レンジの上限金利の引き下げは3会合連続となる。

 また、中銀はベース金利のオプションとして、高目に設定されている超過準備預金への付利金利を現行の17.00%から16.00%に、21日から1.00ポイント引き下げることを決めた。中銀は前回5月会合で3年ぶりに引き下げており、これで引き下げは2会合連続。

 これは金融システムの流動性を緩和方向に調整する措置で、中銀は会合後の声明文で、前回5月会合時と同様、「依然として良好なリスク環境(金融危機やインフレなどのリスクの改善)により、中銀は金融政策の正常化に向け、追加措置を講じることが可能となっている」とし、金融政策の正常化に向けた金融緩和措置であることを強調している。

 ベース金利を据え置いたことについて、中銀は前回会合時と同様、「ベース金利の現在の水準はインフレリスクを管理するのに適切な水準だ」とした上で、今後の金融政策については、「インフレ期待を安定させ、物価目標を持続的に達成するためには、金融引き締めを維持する必要がある」とし、据え置きを継続する考えを示した。ただ、金融引き締めを維持する期間については、前回会合時で使われた「長期にわたって(over a prolonged period)」の文言が削除された。

 これを受け、市場では依然、ハンガリー中銀が欧州で利下げを最初に開始すると見ている。ビクトル・オルバン首相は景気を刺激するため、早期の利下げを求めて中銀と対立していることもあり、インフレ率がピークを過ぎた4-6月期から利下げに転換、年末までに政策金利は最大1.75ポイント低下すると予想している。

 5月のインフレ率は全体指数が前年比21.5%上昇(4月は24.0%上昇)、コア指数は同22.8%上昇(同24.7%上昇)と、急減速しており、中銀は今後の見通しについて、「ディスインフレは今後も加速する。その結果、インフレ率は年末までに一ケタに達する。サービス価格の大幅な上昇により、コアインフレ率はより緩やかなペースで低下する可能性がある」とした上で、23年は16.5-18.5%上昇、24年は3.5-5.5%上昇、25年は2.5-3.5%上昇と予想している。

 次回の金融政策決定会合は7月25日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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