<新興国eye>チェコ中銀、賛成多数で金利据え置き―2委員が0.25ポイントの利上げを主張

新興国

2023/6/22 8:56

 チェコ国立銀行(中銀)は21日の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、政策金利の2週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを5対2の賛成多数で決めた。据え置きは市場の予想通りだった。ただ、2委員は0.25ポイントの利上げを主張、反対票を投じた。

 中銀は最近のインフレ加速を受け、21年6月会合で20年2月以来、1年4カ月ぶりに利上げを再開。22年も2、3、5、6月に利上げを決めた。利上げ幅が計6.75ポイントに達したことから同8月会合で据え置きに転じ、利上げサイクルは9会合連続で止まった。金利据え置きはこれで9会合連続。7.00%の政策金利は90年4月9日(7.20%)以来33年ぶりの高水準となっている。

 また、中銀は通貨コルナ安がインフレを加速させるとし、これまで頻繁にコロナ安阻止の市場介入を実施しているが、今回の声明文でも、「コルナの過度の変動(特にコロナ安)を防止し続ける」とし、為替介入戦略を変更しない考えを改めて強調した。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「最新の経済予測と今後の新しい経済データを考慮し、次回会合で金利を据え置くか、利上げするかを決定する」とし、利上げ再開の可能性にも含みを持たせた。また、中銀は、「インフレ率は経済予測よりも顕著に低下しているが、中銀は依然、金利が長期にわたり、現行または、それを上回る水準にとどまると予想している。これはインフレ期待が高まった場合でも、インフレ率は来年、物価目標に近い水準に確実に戻ることを意味する」とし、「この観点からすれば、最初の利下げのタイミングに関する市場の観測は時期尚早だ」と、否定的な見方を示した。

 しかし、それでも市場ではインフレ率が前年比10%上昇を下回る今夏以降、9月までに利下げを開始、今年末までに1.00%ポイント引き下げられると予想しており、利下げ時期を遅らせたい中銀と早期利下げに賭ける市場との違いが依然として際立っている。市場では中銀が利下げを遅らせたい背景には利下げによるコルナ安がインフレ抑制効果を低下させることへの懸念があると見ている。

 インフレ見通しについては、中銀は、「5月のインフレ率が同11.1%上昇まで低下、まもなく同10%上昇を下回ると予想している。インフレ率は全体的に伸びが鈍化している」としたが、「インフレ率の全体指数とコア指数はいずれも依然、容認できない高水準にある。従って、中銀はインフレが完全に抑制されるまで、つまり2%上昇の物価目標近くで安定するまで、インフレとの戦いを続ける決意だ」とし、その上で、「これは金利がしばらくの間、比較的高いままであることを意味する」と指摘。金利が現在の高水準で当分の間、据え置かれるか、利上げ再開の可能性を示唆している。しかし、市場ではインフレ低下が進んでいるため、中銀は金融引き締め(追加利上げ)に反対する議論を強めていると見ている。実際、今回の会合では0.25ポイントの利上げを主張したのは2委員で、前回会合時の3人から1人減っている。

 また、19日に発表された最新の経済予測では、インフレ率は金融政策の期間(12ー18カ月)で、物価目標に近づく。23年は11.2%上昇、24年は2.1%上昇、25年は1.4%上昇に低下すると予想している。ちなみに、22年は15.1%上昇だった。景気見通しは、23年は0.5%増、24年を3.0%増、25年を3.3%増と予想している。

 次回の会合は8月3日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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