(再送)来週の東京外国為替市場見通し=米雇用関連指標に注目、介入への警戒感一層高まる

国内市況

為替

2023/6/30 16:45

予想レンジ:1ドル=142円00銭-148円80銭

 6月26-29日のドル・円は上昇した。週明け26日、神田財務官の円安けん制発言や米長期金利の上昇一服を受けたドル売り・円買いが先行。27日は、強い米経済指標を材料に米金融引き締めの長期化観測が強まり、ドル買い・円売りが優勢となった。28日、ECB(欧州中央銀行)主催の金融シンポジウム「ECBフォーラム」に出席したパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長のタカ派的な発言を受けてドル・円は上値追いの展開に。29日は、米1-3月期GDP(国内総生産)確定値が改定値から上方修正されたほか、米新規失業保険申請件数が予想よりも少なかったこと、FRBによる米大手銀行のストレステストの結果が良好だったことからリスクオンの動きが強まった。

 大規模緩和を続ける日本とインフレ抑制を優先する各国で金融政策の方向性が異なることから、円は引き続き弱い動きが見込まれる。FRBは物価のほかに労働需給のひっ迫も注視しており、週内(7月3-7日)は週末の米6月雇用統計をはじめ、ADP雇用統計や週間の新規失業保険申請件数の結果にも敏感に反応しそう。市場は7月のFOMCで利上げを見込んでいるものの、その後の追加利上げは織り込み切れていない。週内の雇用関連指標で労働市場の強さが再確認されるようなら、年内2回の利上げ観測が広がり、ドル高・円安が加速する可能性もある。

 また、5日には6月13、14日開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が公表される。政策金利は据え置かれたが、金利見通しが引き上げられた会合で、改めてタカ派的と受け止められれば、ドル・円を押し上げそうだ。

 一方、145円台は22年9月に日銀が24年ぶりに円買い介入を実施した水準でもあり、ここから上は当局の動きをにらみながらの展開が予想される。当局はかねてより急速な為替変動には対応していく姿勢を示している。ドル・円の上昇ピッチが速まれば介入による乱高下を招く恐れがある点は注意したい。一部では日銀が長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)を調整するとの見方も根強く、介入だけでなく、高官発言などでこうした観測が強まるようなら円買いが進むかもしれない。

 ドル・円の上値メドは22年11月高値の148円80銭近辺。下値メドは142円ちょうど近辺。

提供:ウエルスアドバイザー社

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