<新興国eye>ルーマニア中銀、予想通り金利据え置き―4会合連続

新興国

2023/7/6 8:51

 ルーマニア国立銀行(中銀)は5日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 また、中銀は主要政策金利の「プラス・マイナス1ポイント」のレンジの上限としている、市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利も8.00%に、下限にあたる資金吸収のための預金金利も6.00%に、いずれも据え置いた。

 中銀が金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率についても、自国通貨建ての預金準備率を8.00%、外国通貨建ての預金準備率も5.00%に、それぞれ据え置いた。

 中銀は急速なインフレ上昇を受け、21年10月会合で3年5カ月ぶりに利上げを再開。今年1月会合まで11会合連続の利上げを実施、利上げ幅は計5.75ポイントに達している。1月会合で利上げサイクルを休止した。これで据え置きは4会合連続。金利水準は依然、10年以来13年ぶりの高水準にある。

 中銀は会合後の声明文で、金利据え置きを決めたことについて、前回5月会合時と同様、「ウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁措置が景気見通し、ひいては中期的なインフレ見通しに対する不確実性とリスクを生み出している」とした上で、「入手可能な最新の経済指標と、こうした最近の不確実性の高まりを考慮し、金利据え置きを決めた」としている。

 また、中銀が金利据え置きを決めたもう1つの背景にはインフレ率が22年10-12月期をピークに低下傾向に入ったことがある。主に原油価格や燃料価格の下落により、5月は同10.64%上昇と、2月の同15.52%上昇や3月の同14.53%上昇、4月の同11.23%上昇から伸びが着実に減速している。

 インフレ見通しについて、中銀は、「現在の評価によると、インフレ率は、主にベース効果と過去の一部のコモディティ(国際相場商品)価格の下落により、最新の中期経済予測通り、今後数カ月低下し続ける」と見ている。

 また、今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「持続可能な経済成長を達成し、中期的にインフレ期待を抑制、インフレ率を物価目標(1.5-3.5%上昇)に戻すことを目指す」とし、景気支援とインフレ抑制の両立を目指す考えを改めて強調。ただ、前回会合時と同様、「中期的な物価安定の達成に必要なあらゆる手段を講じる用意がある」とし、追加利上げの可能性に含みを残した。

 しかし、市場ではムグル・イサレスク総裁はインフレ率が政策金利水準に低下するまで金利を据え置く考えを示していることや、コア指数が依然高水準(5月は前年比13.6%上昇)にあるため、利上げサイクルを事実上、終了した上で、今年末まで現状維持を続け、24年初めから利下げに転換すると見ている。

 次回の金融政策決定会合は8月7日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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