FOMC議事録、利上げ一時休止後も追加利上げの必要性を指摘(1)

経済

2023/7/6 9:29

<チェックポイント>

●議事録、「物価目標の達成には制限的な金融政策スタンスの維持が適切」

●議事録、「ほぼ全委員が経済予測で23年中の追加利上げが適切と判断」

●議事録、「一部の委員は6月会合で0.25ポイントの利上げを支持」

 FRB(米連邦準備制度理事会)が5日公表した、FOMC(公開市場委員会)議事録(6月13-14日開催分)で、6月会合では金利据え置機決定は全員一致ではなく、据え置きか利上げ継続かで委員の意見が割れていたことが分かった。

 議事録では、「大半の委員は、今回の6月会合で金利を変更しないことにより、雇用の最大化と物価安定というFRBの目標達成に向け、経済の動向を評価する時間がより多く得られると判断した」としたが、その一方で、「一部の委員は、今回の会合で0.25ポイントの金利引き上げに賛成、またはそのような提案を支持できると述べた」とし、意見が割れたことを示している。

 議事録では0.25ポイントの利上げを支持した委員はその根拠について、「雇用市場が依然として非常にタイトであること、経済活動の勢いが従来の予想より強いこと、インフレ率が物価目標の2%上昇に戻る軌道に乗っている明確な兆候がほとんどないことを指摘した」としている。

 また、議事録は、「すべての委員はインフレ率が依然、FRBの物価目標の2%上昇を大きく上回り、雇用市場が引き続き非常にタイトであることから、物価目標を達成するには制限的な金融政策スタンスを維持することが適切と考える」とし、その上で、「ほぼ全員が経済予測の中で、23年中に追加利上げが適切であると判断していると指摘した」とし、追加利上げの必要性でほぼ意見が一致していたことも分かった。制限的なスタンスとは、政策金利を中立金利(2.5%)以上に引き上げた場合、経済成長を抑えることになる「制限的な領域」に入ることを意味する。

 6月会合で発表された最新の経済予測によると、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標の見通し(政策金利のレンジ予想の中心値)は23年が5.6%(前回予測は5.1%)と、23年の金利のピークが0.5ポイント引き上げられた。市場ではFRBは今後の追加利上げの可能性を示し、0.5ポイントであと1回、0.25ポイントであと2回の追加利上げを意味すると見ている。24年は4.6%(同4.3%)、25年は3.4%(同3.1%)と、24年から利下げに転換すると予想している。

 パウエルFRB議長も前週(6月28日)、米国で開催されたECB(欧州中央銀行)年次フォーラムで、「FOMC委員の大多数が2回以上の利上げを予想、しかも連続利上げの可能性は排除しない」と述べている。今回の議事録も次回7月25-26日会合での利上げ予想を強めるものとなっている。市場でもFRBはしばらくタカ派にシフトし続けると見ており、金利先物市場では7月の0.25ポイントの利上げ確率を88.7%織り込んだ。

提供:ウエルスアドバイザー社

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