<新興国eye>ハンガリー中銀、予想通りベース金利を据え置き―上限金利は1ポイント引き下げ

新興国

2023/7/27 8:48

 ハンガリー中央銀行は25日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を13.00%に据え置くことを決めた。他の主要政策金利はベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を12.50%に据え置いたが、上限を示す翌日物有担保貸出金利は1.00ポイント引き下げ、17.50%とした。予想通りだった。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)以降、インフレ抑制のため、ベース金利の引き上げを継続。22年6月会合で1.85ポイント、翌7月12日の臨時会合で2.00ポイント、同9月会合で1.25ポイント引き上げた。同10月会合から据え置き転換、利上げは17会合連続で止まったが、利上げ幅は計12.40ポイントに達し、金利水準も99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となっている。ベース金利の据え置きはこれで10会合連続。他方、レンジの上限金利の引き下げは4会合連続となる。

 また、中銀はベース金利のオプションとして、景気を支援するため、高目に設定されている超過準備預金への付利金利を現行の16.00%から15.00%に、26日から1.00ポイント引き下げることを決めた。中銀は5月会合で3年ぶりに引き下げており、これで引き下げは3会合連続。

 これは金融システムの流動性を緩和方向に調整する措置で、中銀は会合後の声明文で、前回6月月会合時と同様、「依然として良好なリスク環境(金融危機やインフレなどのリスクの改善)により、中銀は金融政策の正常化に向け、追加措置を講じることが可能となっている」とし、金融政策の正常化に向けた金融緩和措であることを強調。その上で、「リスク見通しが持続的に改善すれば、ベース金利に徐々に収束させていく」としている。

 ベース金利を据え置いたことについて、中銀は前回会合時と同様、「ベース金利の現在の水準はインフレリスクを管理するのに適切な水準だ」とした上で、今後の金融政策については、「現在のベース金利の水準を維持することで、インフレ期待が確実に抑制され、物価目標が持続的に達成される」とし、前回会合時と同様、据え置きを継続する考えを示した。中銀のバルナバス・ビラグ副総裁は会見で、「中銀の金融政策は9月以降も変わらない」と述べている。

 6月のインフレ率は全体指数が前年比20.1%上昇(5月は21.5%上昇)、コア指数は同20.8%上昇(同22.8%上昇)と、急減速しており、中銀は今後の見通しについて、前回会合時と同様、「ディスインフレは今後も加速する。その結果、インフレ率は年末までに1ケタに達する。サービス価格の大幅な上昇により、コアインフレ率はより緩やかなペースで低下する可能性がある」とした上で、23年は16.5-18.5%上昇、24年は3.5-5.5%上昇、25年は2.5-3.5%上昇との見通しを据え置いた。

 次回の金融政策決定会合は8月29日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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