<新興国eye>チェコ中銀、予想通り金利据え置き―全員一致

新興国

2023/8/4 8:50

 チェコ国立銀行(中銀)は3日の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、政策金利の2週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。

 中銀は最近のインフレ加速を受け、21年6月会合で20年2月以来、1年4カ月ぶりに利上げを再開。22年も2、3、5、6月に利上げを決めた。利上げ幅が計6.75ポイントに達したことから同8月に据え置きに転じ、利上げサイクルは9会合連続で止まった。金利据え置きはこれで10会合連続。7.00%の政策金利は90年4月9日(7.20%)以来33年ぶりの高水準となっている。前回6月会合では2委員が0.25ポイントの利上げを主張したが、今回は全員一致で据え置いた。

 また、中銀は通貨コロナ相場の安定について、「介入制度を正式に終了したが、必要と判断した場合、物価の安定や金融の安定を脅かすコルナ為替レートの過度の変動を常に防止する」とし、引き続き、為替介入を実施する考えを示している。

 金利据え置きを決めたことについて、中銀は、「最新の経済予測に基づいて、基本シナリオと他の2つのシナリオを議論した結果、現在の金利水準がインフレ率を確実に物価目標(2%上昇)に収束させるのに十分な水準となっている」とした。

 ただ、中銀は今後の金融政策について、「インフレ率は6月に前年比9.7%上昇と、22年9月の同18%上昇から低下したが、依然として容認できない水準にある。中銀はインフレが十分に抑制されるまで、つまり2%上昇の物価目標近くで安定するまで、インフレとの戦いを続ける」とし、「今後の新しい経済データと経済予測の達成度合いに基づいて、金融政策を決定する」とし、現在も高水準となっている金利の据え置き、または追加利上げの可能性を示唆している。

 その上で、中銀は、「今後数四半期の金利は経済予測の基本シナリオよりも高くなると予想している。これにより、たとえインフレ期待の上昇や内需の成長回復の加速などでインフレリスクが顕在化しても、インフレ率は来年、物価目標に近い水準に確実に戻る。この観点からすると、市場の(早期の)金利低下予想は実現しない可能性がある」とし、早期下げは時期尚早の見方を示した。

 市場ではインフレ率が前年比10%上昇を下回る今夏以降、9月までに利下げを開始、今年末までに1%ポイント引き下げられると予想しているが、利下げ時期を遅らせたい中銀と早期利下げに賭ける市場との違いが依然として際立っている。市場では中銀が利下げを遅らせたい背景には利下げによるコルナ安がインフレ抑制効果を低下させることへの懸念があると見ている。ただ、最近、ハト派のヤン・フライト副総裁が利下げに関する議論は秋ごろに行われるが、利下げはゆっくりしたペースになるとの見方を示している。

 今回の会合で発表された最新の経済予測では、インフレ率は金融政策の期間(12ー18カ月)で、物価目標に近づくとしており、23年は11.0%上昇(前回会合時は11.2%上昇)、24年は2.1%上昇(同2.1%上昇)、25年は1.7%上昇に低下すると予想している。ちなみに、22年は15.1%上昇だった。景気見通しは、23年は0.1%増(同0.5%増)、24年を2.3%増(同3.0%増)、25年を2.7%増、また、3カ月物PRIBOR(プラハ銀行間取引金利)で見た金利見通しは、23年が6.9%(同6.8%)、24年は4.8%(同4.6%)、25年は3.7%を予想している。

 次回の会合は9月27日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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