FOMC議事録、大半の委員がインフレの上ブレリスクを認識
2023/8/17 9:07
<チェックポイント>
●大半の委員が追加利上げ必要となる可能性があるとの見解示す
●インフレの上ブレや雇用市場のひっ迫を警戒
●少数の委員は信用不安を背景に利上げサイクルの終了を支持
FRB(米連邦準備制度理事会)が16日に公表した7月25-26日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録で、多くの委員がインフレ上ブレリスクを認識し、さらなる引き締め(追加利上げ)が必要となる可能性があるとの見解が示された。一方、少数の委員は利上げサイクルを終了させる考えを支持していたことが分かった。
議事録によると、「累積的な引き締め(利上げ)が予想よりも急激な景気減速につながる可能性や、銀行の信用状況のひっ迫により景気が悪化する可能性についても検討した」とし、その上で、「大半の委員は、インフレ率が依然としてFRBの長期の物価目標(2%上昇)を大幅に上回っており、雇用市場が引き続きひっ迫しているため、インフレに対する重大な上ブレリスクを認識、さらなる金融政策の引き締めが必要になる可能性がある」と指摘し、インフレについて懸念を示し、状況が変わらない限り、将来的に追加利上げが必要と判断していることが分かった。
その一方で、一部の委員はこれまでの利上げが経済に悪影響を与える可能性も指摘。「委員会の決定が不用意かつ過度な引き締めリスクと不十分な引き締めによってもたらされるコストのバランスを取ることが重要と判断した」としており、ハト派的な慎重さが見え始めている。
また、少数委員が利上げサイクルの終了を支持しており、その理由として3月の金融危機に端を発した信用ひっ迫も背景にあるとした。議事録によると、「米国の銀行システムが健全で回復力があるとしたが、家計や企業の信用状況がさらに厳しくなれば、経済や雇用、インフレの重しとなる可能性が高い」と懸念を示している。
FRBのバランスシートの規模縮小については、すべての委員が保有債券を削減するプロセスを継続することが適切であることで一致したとした上で、規模縮小の期間については、利下げが始まったあともバランスシートの規模縮小を継続すべきとしている。
提供:ウエルスアドバイザー社
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