rakumo、業務効率化SaaSの利用者増加速し大幅増益――低解約率も維持

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2023/8/21 8:30

 業務効率化のためのSaaS(サービスとしてのソフトウエア)を展開するrakumo(4060)は、低い解約率を維持する中で、利用者数やクライアント社数が順調に拡大している。今12月期上期は、営業利益が通期予想(2.9億円、前期比26%増)の約51%をクリアした。

上期EBITA、前年比50%増

 同社は企業の生産性改善につながるSaaS「rakumo」と「gamba!」を主力とする。これは、スケジュールや勤怠管理、経費精算など、組織内の多岐にわたる領域で情報共有やコミュニケーションを円滑化する「グループウェア」と呼ばれるサービス。グーグルの「グーグルワークスペース」やセールスフォースの「セールスクラウド」とスムーズに連携する拡張ツールとして提供している。

 業績の重要指標に位置付けるユニークユーザー(UU=rakumoの利用者)数は、6月末で53.5万人(前期末比3.3万人増)に増加した。クライアント社数も同月末で2397社(同63社増)に上り、第2四半期(4~6月)は増加幅がそれぞれ2.1万人、46社と前四半期(各1.2万人、17社)から勢いが加速した。

 UU数の増加は、大規模企業の契約が増加していることに起因している。大規模企業が多く参加するようなイベントへの出展や、大手企業に強い販売パートナーとの連携を深めるなどの施策が功を奏している。なお、国内のプライベートエクイティファンドの草分けであるアドバンテッジパートナーズ社のグループ会社であるアドバンテッジアドバイザーズ(AA)社との資本業務提携や、IR(投資家向け広報)動画制作のアイヴィジョン(IV)社の買収といった施策の効果についても期待が持てる。

 上期の調整後EBITA(営業利益+の連償却費)は、1.5億円(前年同期比50%増)に拡大した。UU数増に伴う売上高の伸びに加え、粗利益率(64.3%、前年同期は63.2%)、販管費率(39.7%、同43.7%)がいずれも改善して収益性が高まった。なお、売上高に占めるSaaSの割合は約90%に到達している。

「LumApps」連携、インボイス対応も

 サービスの低い解約率(高い更新率)も同社の特徴だ。半期ベースでは2020年12月期の下期に1%を上回ったのを最後に、その後は1%を切る水準をキープしている。今期上期は過去最低の0.65%を達成した。

 同社の解約率の低さは、ある企業について、顧客がどれだけのサービスをどれだけの期間と頻度で利用するかを示すLTV(顧客生涯価値)の向上に寄与する。このため、SaaS企業の価値を測る上で重視される「LTV/CAC(顧客創出コスト)」の倍率も相対的に高いとみられ、売上の拡大が利益に結び付きやすい構造だ。1顧客当たりの販売額に関しても、右肩上がりで推移している。

 同社は今後も、UU数と単価の増加、解約率の低減を図る。UU数については、AA社との共同展開やIV社の製品拡販のほかにも、社内ポータルサイト作成ツールの「LumApps(ルムアップス)」とrakumoワークフローとの連携、ITコンサルティング大手のガートナーが主催する「デジタル・ワークプレース サミット」への出展などによって顧客の深耕と開拓を進める。解約率に関しては、インボイス制度へのきめ細かい対応や、利用者アンケートを通じた機能改善などの取り組みを強化していく。

 株価は1000円を挟んだ昨年来のもみ合いをここにきて上抜けた。好調な業況を反映し、相場が新局面に入った可能性がある。週足の主要移動平均線(13・26・52週線)がいずれも上向くトレンドの中で、まずは2021年5月以来の2000円台回復が期待される。

(写真:123RF)

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