ENECHA、第2四半期はボトムで今後は成長へ=城口洋平CEOに聞く
2023/8/25 9:00
ENECHANGE(4169)はEV(電気自動車)充電事業、プラットフォーム事業、データ事業を手掛ける。今12月期の上期業績は連結売上高20億9100万円(前年同期比2.8%減)、経常損益11億5200万円の赤字(前年同期は1億7600万円の赤字)だった。EV充電、プラットフォームの両事業とも下期は黒字化する見通しで、来期以降の成長が期待できる状況だ。同社の現状と将来について城口洋平CEO(最高経営責任者)に聞いた。
――上期業績の進ちょくはいかがですか。
「EV充電事業、およびプラットフォーム事業がわずかに赤字になりました。そのため、第2四半期(4~6月)は売上高、利益とも今期のボトムになりましたが、進ちょくは計画通りです。期初から上期は赤字、下期は主にEV充電事業のハードウエア売上が計上されることで黒字予想としており、通期業績予想の売上高52億5000万円(前期比40.6%増)、経常損益9億円の赤字(前期は11億5600万円の赤字)は据え置いています」
――EV充電事業の受注は好調ですね。
「第2四半期の受注台数は2906台(前年同期は541台)で、累計受注台数は6482台になりました。期初には第2四半期の受注台数目標を3000台としていましたが、第1四半期(1~3月)に早くも達成し、さらに受注ペースが加速しています。大手保険会社である東京海上日動との業務提携や、横浜市などと普通充電設備の普及に向けた連携協定を結ぶなど、上場会社としての認知度や信頼性、パートナーシップなどのネットワークを生かしています。2027年に3万台の設置を目標としていますが、これも前倒しで達成できるでしょう」
――下期にはEV充電事業の売上を計上する予定です。
「当社のEV充電事業は補助金を活用した、設置費用・月額費用ゼロ円を実現したゼロプランで展開しています。そのため、補助金申請受理後にEV充電器の販売・設置を行うことから、下期に順次、設置を進めていくことになります。今年度分のEV充電インフラ補助金は7月に予備分を除いて、予算上限に達しています。9月から予備分の申請受け付けが開始され、交付が決定するのは10月ごろの予定ですので、従来のように先着順ではないことから、10~11月にならないと、申請受理件数が不透明なところがあります。しかしながら、当社はもともと原則2台で設置申請を行っていたことなど、申請要件変更によって受ける影響は小さいと考えています」
――プラットフォーム事業はどんな状況ですか。
「ウクライナ問題の影響もあり、卸電力市場(JEPX)価格は一時高騰し、新電力の市場自体が一時は混乱しました。しかし、燃料価格の低下などから、同市場は現在では一定の落ち着きを見せています。事業環境改善に伴い、新電力がユーザー獲得活動を再開しており、当社のプラットフォーム事業も第2四半期にはユーザー数が前年同期比26%増と順調に増加しました。法人向け、家庭向けともシェアも過去最高を記録しています。新電力の料金プランが多様化したこともあり、今後はますます当社の『エネチェンジ』のような比較サイトの重要性が高くなっていくでしょう。ユーザー獲得再開に伴う一時的な費用が膨らみ、第2四半期の同事業は営業赤字になりましたが、前期と違ってこれは当社のコントロール下における赤字です。今後はフロー、ストックとも売上高が増加することで、下期以降は再成長する計画です」
――将来のビジョンを教えてください。
「日本政府はグリーントランスフォーメーション(GX)に積極的で、22年12月22日開催の第5回GX実行会議では『GX実現に向けた基本方針 今後10年を見据えたロードマップ』を決定しました。ガソリン価格高騰や、東京都の都有施設の充電設備有料化なども当社にとっては追い風になるでしょう。経済産業省は『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』で、30年までに公共用の普通充電器設置について12万台の目標を設定しています。少なくとも30年まではEV充電器の市場拡大が続くとみられますが、EV普及の流れを考えるとそれで終わることはないでしょう。こうした中で、当社は先行者として、さらに充電器、設置費用の面で優位性があり、今後、さらなるシェア獲得と、獲得ペースの加速を図ります。今期の下期からは売上計上も予定しており、長期的な成長を目指していきます。一方、プラットフォーム事業も今後は改めて成長基調入りする観測です。上期決算発表後に株価は下落しましたが、今後はEV充電事業、プラットフォーム事業の成長が株価に反映されればいいなと思います」
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