【為替本日の注目点】米金利低下にもドル円小幅に続伸
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は連日で年初来高値を更新。日米の金融政策の差が再び意識され、ドル円は146円75銭まで買われる。ユーロドルは小幅に反落するも値動きは限定的となり、値幅は20ポイント程度にとどまる。株式市場は3指数が揃って続伸。S&P500は27ポイント上昇し、ナスダックも114ポイント買われる。中国政府が株価対策を打ち出したことも追い風に。債券は小幅に続伸。長期金利は4.20%台に低下。金と原油は揃って上昇。
マーケット情報
8月ダラス連銀製造業景況感指数 → -17.2
ドル/円 146.37 ~ 146.75
ユーロ/ドル 1.0799 ~ 1.0820
ユーロ/円 158.19 ~ 158.53
NYダウ +213.08 → 34,559.98ドル
GOLD +6.90 → 1,946.80ドル
WTI +0.27 → 80.10ドル
米10年国債 -0.033 → 4.202%
本日の注目イベント
独 独9月GFK消費者信頼調査
米 6月ケース・シラ-住宅価格指数
米 6月FHFA住宅価格指数
米 4-6月期四半期住宅価格指数
米 7月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
米 8月コンファレンスボード消費者信頼感指数
ドル円はわずかですが、連日で年初来高値を更新しています。ジャクソンホールでの会合でパウエル議長は、慎重な政策判断を行うとしながらも、さらなる利上げの可能性を排除しなかった一方、植田日銀総裁はこれまでと変わらず、ハト派姿勢を継続していたことで、再び「日米の金融政策の差」が意識されたようです。ドル円は小動きの中緩やかに上昇し、NYの午前中には146円75銭までドルが買われています。米金利の上昇は一服したものの、これを好感して株価が上昇したことで、「リスクオン」の流れから円が売られた側面もあったようです。
米金利が上昇すれば、その動きに素直に反応して「ドルが買われます」が、昨日の様に金利が低下しても株価の上昇に反応して「円が売られる」といった状況になっています。円が買われ円高に振れるには、やはりここは、米金利上昇に天井感が出ると同時に、日銀の大規模な金融緩和政策の解除など、日銀が動くことが必要な状況です。また、政府・日銀による「市場介入」については、既に介入が実施されてもおかしくはない水準に入ってはいますが、なにせ、動きが緩慢でドルの上昇も非常に緩やかです。「口先介入」では、「投機的な動き、過度の変動があった場合、適切な対応を取る」といったような言い回しです。円安が進んでいるものの、緩慢な動きである以上なかなか介入に踏み切れないのではないかとの見方も出来ます。ただそれでも円安がさらに進んだ場合、このまま放置することはないと考えておくべきでしょう。
政府は高騰しているガソリン価格を170円台にするよう、来月で切れる補助金の延長を検討すると報じられています。電気・都市ガス料金の延長も同時に検討する予定で、これらの料金が急上昇したのは言うまでもなく足下の「円安」が主因の一つになっています。ガソリンなどの補助金に加え、経済対策にも取り組んでいますが、原資は全て国債を発行して財源を確保します。コロナ禍だったこともあり、すでに国債の増発が常態化しており、もはや税収と歳出を均衡させる「プライマリーバランス」は死語になりつつあります。財政規律のさらなる悪化は「格下げ」という事態につながり、さらに円が売られるという「悪循環」に陥るリスクもあります。2024年度予算も110兆円台となり、過去最大級になることが見込まれており、足元の税収は増えてはいますが、それ以上に歳出が膨らんでいるのが、今の日本の現状です。
トランプ前大統領が2020年大統領選での選挙妨害の共謀罪で起訴された件で、ワシントンの連邦地裁は28日、初公判の期日を24年3月4日に設定しました。翌3月5日は、選挙人の数が多いテキサスやカリフォルニアを含む14州が大統領選に向けた予備選挙を実施する「スーパーチューズデー」に当たり、その前日に設定されたことになります。検察側は来年1月2日の開始を求めていた一方、トランプ氏側は24年11月の大統領選よりずっと後の、26年4月まで遅らせるよう主張していました。(ブルームバーグ)この初公判の設定日が、今後トランプ氏の支持率にどのような影響が出るのか注目されます。すでに大統領候補を巡る闘いは始まっています。共和党候補の中では依然としてトランプ氏が圧倒的な支持を集めていますが、仮に有罪が確定しても、共和党候補が大統領選で勝利すれば「恩赦」が行われると、すでに報道されています。一方民主党では、バイデン氏以外に強力な候補者が見当たらない状況ですが、いかんせんバイデン氏の年齢がネックになります。先日も演説のため登壇した際にこけてしまいました。2024年の大統領選は予想が難しいことが理解できます。
本日のドル円は145円50銭~147円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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