米6月S&PコアロジックCS住宅価格指数、前月比0.9%上昇―5カ月連続上昇も伸び減速

経済

2023/8/30 9:56

<チェックポイント>

●20都市圏:前月比は5カ月連続上昇も伸び減速

●10都市圏:前月比は5カ月連続上昇も伸び減速

●S&P、「今後、住宅ローン金利上昇などで住宅価格は低下」と予想

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が29日に発表した6月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(季節調整前)は、一戸建て中古住宅の価格動向を示す総合指数である全米住宅価格指数が前月比0.9%上昇の308.25と、5カ月連続で上昇したが、前月(5月)の1.3%上昇を下回り、伸びが減速した。

市場が最も重視している主要20都市圏の価格指数(季節調整前)は前月比0.9%上昇の314.86と、5カ月連続で上昇したが、前月(1.5%上昇)から伸びが減速した。前年比は1.2%低下(前月は1.7%低下)と、4カ月連続で低下(マイナス)した。4月(同21.12%上昇)をピークに14カ月連続で伸びが減速。市場予想(前年比0.9%低下)を上回る大幅低下となっている。ただ、依然、住宅バブル期の06年7月の最高記録206.52を52.5%上回っている。

 都市別の前年比では、南東部が強く、シカゴが4.2%上昇と、最も高い伸びとなった。次いで、クリーブランドが4.1%上昇、ニューヨークは3.4%上昇、マイアミは2.5%上昇。対照的に、太平洋沿岸や西部が弱く、サンフランシスコが9.7%低下と、最も低い伸びとなった。次いで、シアトルが8.8%低下、ラスベガスは8.2%低下、フェニックスは7.5%低下だった。マイナス(低下)となったのは20都市中10市(前月は9市)だった。

 S&P500指数を運営しているS&Pダウジョーンズ・インデックスのマネージング・ディレクター兼指数管理担当責任者であるクレイグ・ラザラ氏は、「住宅市場は6月も前月比で0.9%上昇となり、(その結果)1年前の22年6月のピークをわずか0.02%(5月は1.00%)下回るだけとなった」、また、「6月は5カ月連続で価格が上昇、23年の半分が経過した時点で、年初来4.5%上昇となり、通年の上昇率の中央値をやや上回っている」と、懸念を示した。市場では価格上昇が続いているのは住宅供給(在庫)不足により、売り手市場になっているためとみている。しかし、同氏は今後の見通しについて、前月と同様、「住宅ローンの資金調達コストの上昇や景気低迷の見通しを考えると、今後、これまで(過去5カ月間)の価格上昇が打ち消される可能性がある」とし、住宅価格の先行きについては楽観的にみている。

 住宅ローン金利はフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の30年固定金利の平均約定金利でみると、直近の8月24日時点では7.23%と、8月中旬から7%台に突入、1年前の5.55%上昇を大きく上回り、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)を押し下げている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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