【為替本日の注目点】8月米失業率は3.8%に上昇

為替

サーチナ

2023/9/4 10:06

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は「雇用統計」の発表を受け急落。失業率が3.8%と大幅に上昇したことを受け144円44銭まで売られる。ただその後の経済指標が依然強めの内容だったことで、146円30銭まで買われるなど、荒っぽい値動きに。ユーロドルは1.08台後半まで買われたが反落。株式市場はS&P500とダウが買われたものの、ナスダックは小幅に下落。ダウは一時300ドルを超える上昇後115ドル高で取引を終える。債券は大幅に売られ、長期金利は一時4.2%台まで上昇。金は小幅に反発。原油は7日続伸し、昨年11月以来となる85ドル台後半まで上昇する場面も。OPECプラスの供給削減を受け、買いが優勢に。

マーケット情報

8月失業率 → 3.8%

8月非農業部門雇用者数 → 18.7万人

8月平均時給 (前月比) → 0.2%

8月平均時給 (前年比) → 4.3%

8月労働参加率 → 62.8%

8月ISM製造業景況指数 → 47.6

8月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 47.9

8月自動車販売台数 → 1504万台

ドル/円 144.44~ 146.30

ユーロ/ドル 1.0772 ~ 1.0882

ユーロ/円 157.05 ~ 157.91

NYダウ +115.80 → 34,837.71ドル

GOLD +1.20 → 1,967.10ドル

WTI +1.92 → 85.55ドル

米10年国債 +0.071 → 4.179%

本日の注目イベント

独 独7月貿易収支

独 独7月鉱工業生産

米 株式、債券市場休場(レーバーデー)

 米8月の雇用統計の結果を受け、ドル円は大きく売られました。非農業部門雇用者数(NFP)は予想を上回ったものの失業率が「3.8%」と、市場予想の「3.5%」を大きく上回る結果でした。またNFPにしても、8月分は予想を上回りましたが、7月分は「18.7万人」から「15.7万人」に、6月分も「18.5万人」から「10.5万人」のそれぞれ下方修正されたことも、好調だった労働市場の変化を示唆し、ドルが大きく売られました。

 ただ、ドル円はその後に発表された「8月ISM製造業景況指数」と「8月製造業PMI」が上振れしたことを受け一転ドル買いが強まり、146円30銭まで急反発しました。底値から1円90銭近くドルが反発した動きは、今後のドル高を示唆しているのか、判断に迷うところです。先週発表された「7月の求人件数」や「8月のADP雇用者数」、さらには「GDP改定値」は全て下振れしており、「労働市場にもようやく減速傾向が表れた」といった見方が高まりました。そのため今月開催されるFOMC会合では、「利上げの可能性はほぼ消滅した」といった観測が市場のコンセンサスになりつつある状況でした。今回の「雇用統計」を受け、この観測がさらに強まったと思われます。直近3カ月のNFPを見ると、平均で「14.96万人」で、好調な労働市場の目安とされる「20万人」を大きく下回っています。今後利上げ局面の終焉が見込まれるようなら、債券価格は上昇し金利が低下すると見られことから、債券市場では「2年債をscreaming buy(絶叫するほどの買い)」と呼ぶ声や、「米金融当局が当面は金利を据え置き、恐らくこのサイクルは完了したと債券市場を安心させるという内容だった」といった声も上がっている(ブルームバーグ)と報じられていました。しかし実際には、NY市場の終盤には債券は売られ金利が上昇。ドル円は金利上昇に146円台前半まで引っ張られた印象です。「雇用統計」の結果だけでは、なかなか動きを予想できなかった一日でした。それでも、まだ「8月の消費者物価指数」の発表は残しているものの、今月のFOMC会合ではほぼ利上げが見送られると予想しています。そして、焦点は残り2回の会合で最後の利上げがあるのかどうかに移って来ます。同時に今度は日銀の次の動きにも大きな関心が寄せられます。米国でこれ以上複数回の追加利上げがないとすれば、米国のハードランディングも避けられる可能性が高く、常日ごろ米景気に対して厳しい見方を示しているサマーズ元財務長官も、雇用統計の結果を踏まえ、「非常に楽観的なシナリオに一致している。統計内容には警鐘となり得たあらゆる要素が含まれているが、警鐘は鳴らなかった」と述べ、「依然としてソフトランディングへの道は非常に険しいと考える。しかし今回はそれに向けた一歩となった」と、ややポジティブな言い回しで評価していました。

 結局先週末の金曜日は、「長い下ひげを描き、陽線で」終わっています。教科書通りに言えば、「陽線の下ひげは、長ければ長いほど買い圧力が強い」ことを意味し、ドル上昇を示唆していると理解できますが、上でも述べたように、今後の日米の金融政策に変化が出て来るとすれば、ドル上昇のサインをそのまま受け入れていいのか迷うところです。来週13日(水)に発表される「8月の消費者物価指数」がダメ押しになるのかどうか、見極めたいと思います。

 本日のドル円は145円30銭~146円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ