【為替本日の注目点】『行動は言葉よりも雄弁だ』・・・ラガルド総裁
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
NY市場が「レーバーデー」で休場だったことからドル円は小動き。欧州時間では概ね146円台半ばで推移。ユーロドルも1.07台後半から1.08台前半で推移。欧州株はロンドンFT、ドイツDAX、フランスCACはいずれも小幅安。
マーケット情報
ドル/円 146.30~ 146.51
ユーロ/ドル 1.0783 ~ 1.0809
ユーロ/円 157.90 ~ 158.25
NYダウ ------ → 34,837.71ドル
GOLD ------ → 1,967.10ドル
WTI ------ → 85.55ドル
米10年国債 ------ → 4.179%
本日の注目イベント
豪 豪4-6月期経常収支
豪 RBA、キャッシュターゲット
中 8月財新コンポジットPMI
中 8月財新サービス業PMI
欧 ユーロ圏7月卸売物価指数
欧 ユーロ圏8月総合PMI(改定値)
欧 ユーロ圏8月サービスPMI(改定値)
米 7月製造業受注
米 第78回国連総会開幕(NY)
先週末のNYでは、「雇用統計」発表後に144円44銭までドル安が進む場面もありましたが、その後は経済指標の上振れに146円30銭まで急反発するなど、値動きだけを見れば「上に行きたがっているようにも見える」ドル円です。昨日の欧州市場では小動きの中、146円51銭近辺まで上昇したようです。
今朝の日経新聞では「為替見通し、円安に傾く」と題し、大手外銀が為替予想を円安方向に修正したという記事を掲載しています。それまで130-140円程度と見ていた見通しを、140~150円へと上方修正したという内容ですが、その理由としては「日銀が2%の物価目標の達成を確信するのは24年後半より後」といったものや、「日本のインフレが底堅く推移し、実質金利はマイナス圏が続く」といったことを理由に挙げていました。バンク・オブ・アメリカは今年度末を150円と予想しながらも「FRBが24年に利下げを見送れば、160円も視野に」といった見通しを行っています。政府・日銀の介入警戒感はあるものの、FRBのさらなる追加利上げと日銀の政策変更が遅々として進まないようなケースになれば、一段の円安もあり得るという点では、筆者も同感です。ただ、ここ最近の日銀決定会合のメンバ-の発言がこれまでとは異なり、「政策の修正・変更容認」に一歩近づいてきた印象があることから、「年内に日銀が何らかの行動を起す」との予想を筆者は維持しています。もっとも、「日経新聞がこのような記事を掲載すると、反対の方向に動く」というアノマリーは、長い間為替に関わっていますが、何度も見て来ているのも事実です。
ECBのラガルド総裁はロンドンで講演を行いましたが、来週の会合で金利を引き上げるか、据え置くかについては明言を避けていました。ラガルド氏は、「行動は言葉よりも雄弁だ」との言い回しで、「われわれは12カ月の間に政策金利を計425ベーシスポイントという記録的なペースで引き上げてきた。インフレ率を中期目標である2%へと適時に戻す」と述べるにとどめています。誤解を与える言葉よりも行動で示すべきだと、捉えられますが、すでに大幅な利上げを行っており、今はその効果を見極める時期だと言っているようにも捉えられます。ECB理事会ではオランダ、オーストリアなどの中銀総裁が追加利上げに前向きな発言を行っていますが、ドイツ連銀のナーゲル総裁も4日フランクフルトで、「一段の措置にオープンになる必要がある」と語り、「余剰流動性への対応において政策委がすべきことは終わったと、金融市場は受け止めるべきではない」と述べ、上記2名の中銀総裁と同様に利上げには前向きな考えを示しています。域内での直近のインフレ率を見ると、スペインではインフレが加速しており、ドイツでは思ったほどインフレ率が鈍化していない状況です。ECBは14日(木)に政策判断を発表します。
ロシアのプーチン大統領は、4日ロシアのソチでトルコのエルドアン大統領と会談を行い、穀物問題について話し合いましたが、結局目立った成果は見られませんでした。エルドアン氏は、この問題については今後も協議を続けていくと話しています。そんな中、米国家安全保障会議(NSC)は4日、北朝鮮の金正恩総書記がウクライナでの戦争でロシアを支援する武器供与を巡って、同国との「首脳レベルの会談」を期待していることを明らかにしました。NSCのワトソン報道官は、「われわれが公式に警告してきたように、ロシアと北朝鮮の武器供与に関する交渉が進展している」と声明を発表しています。また、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は同日、金総書記がロシアのプーチン大統領と今月の会談を計画していると報じています。(ブルームバーグ)
ウクライナでは新学期が始まりましたが、同国第二の都市ハルキウでは、ロシアからの攻撃を避けるために、市中心部の地下駅のホームに設けられた教室で1000人余りの小学生が勉強しているそうです。時折列車の発着音が外から聞こえる中、午前か午後のどちらかで交互に勉強していると報じられています。ロシアの侵攻から1年半が経過しましたが、「消耗戦の終わり」は、いまだに見えてきません。
本日のドル円は145円50銭~147円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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