【為替本日の注目点】ドル円再び年初来高値更新

為替

サーチナ

2023/9/6 9:57

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は続伸。147円80銭まで買われ1週間ぶりに年初来高値を更新。米金利の上昇が引き金となり、ドルは全面高の展開。ユーロドルも続落し、6月以来となる1.0705までユーロ安が進む。株式市場は3指数が揃って下落。米債券市場で社債発行が相次いだことが株価の重荷に。債券は大きく売られ、長期金利は4.26%まで上昇。需給の崩れから売りものが膨らんだ模様。金は続落。原油はサウジが12月まで減産を継続するとのニュースで8日続伸。一時は88ドル台まで買われ、昨年11月以来となる高水準に。

マーケット情報

7月製造業受注 → -2.1%

ドル/円 147.09~ 147.80

ユーロ/ドル 1.0705 ~ 1.0749

ユーロ/円 157.89 ~ 158.50

NYダウ -195.74 → 34,641.97ドル

GOLD -14.50 → 1,952.60ドル

WTI +1.14 → 86.69ドル

米10年国債 +0.081 → 4.260%

本日の注目イベント

豪 豪4-6月期GDP

日 日銀の高田審議委員講演(下関市)

独 独7月製造業新規受注

欧 ユーロ圏7月小売売上高

米 7月貿易収支

米 8月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)

米 8月S&Pグローバル総合PMI(改定値)

米 8月ISM非製造業景況指数

米 ベージュブック(地区連銀経済報告)

米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演

米 ローガン・ダラス連銀総裁、イベントに参加

加 カナダ中銀政策金利発表

 昨日のNYでは、想定以上にドル円が上昇しました。今回は円が売られたというよりも米金利の上昇がドルを押し上げ「ドル全面高」の様相でした。社債の発行が相次ぎ、米国債はあらゆる年限で売られ、10年債も一時は4.3%に接近する水準まで売られました。「売り圧力の大部分は、市場参加者が休暇シーズンから戻る中、社債発行が異例に多かったことに起因している」との見方が支配的でした。金利上昇はドルを押し上げただけではなく、株価にも重荷となり、株式市場では主要3指数が揃って下落しています。ドル円も147円台に載せてからも上昇し、一時は147円80銭と、先週記録したドルの年初来高値を更新しました。米政策金利の引き上げ観測が徐々に後退し、日銀による金融政策の修正観測が強まる状況の中でもドルが買われ、昨日も触れましたが、ドル高を示唆しているテクニカルに軍配があがったようです。

 昨日は原油価格の動きも注目を集めました。サウジアラビアが世界の原油市場を支えることを目指し、日量100万バレルの自主減産をさらに3カ月延長し、12月まで継続すると、国営サウジ通信が伝えました。サウジの産油量は日量約900万バレルと、7年ぶりの低水準となります。これを受けて北海ブレント原油先物が急伸し、これがNYのWTI先物を押し上げ、一時は「88.07ドル」まで上昇。昨年11月以来の水準を付けました。また、ロシアも日量30万バレルの輸出制限を同じ期間継続するとしています。(ブルームバーグ)原油価格の上昇は、そのほぼ全量を輸入に頼っている日本では、貿易収支の赤字幅拡大につながり、ドル買い需要を増加させます。これもドル円が上昇した「遠因」になった可能性もありそうです。円安と原油価格の上昇を受け、政府の援助がなければ日本のガソリン価格は「リッター当たり200円の時代」が現実的になってきました。

 先週発表された「ADP雇用者数」、「GDP改定値」、さらには「8月の雇用統計」といった重要指標が下振れしたことで、今月のFOMC会合での政策金利据え置き観測が急速に高まってきましたが、これら重要指標の下振れは、FOMCメンバーのインフレ認識にも影響を与えています。FOMCで常に投票権を持つウォラーFRB理事は5日、インフレが引き続き緩和していることを最近のデータが示しているため、金融当局は利上げを「慎重に進める」ことが出来るとの考えを示しました。ウォラー理事はCNBCとのインタビューで、「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」と発言し、「何もしないで、データを待つことが可能だ」と述べ、次回のFOMC会合で金利据え置きを支持する考えを示唆しました。ウォラー理事は7月には「インフレ率が当局目標に向け鈍化し続けるためには、年内に0.25ポイントずつ、あと2回引き上げる必要があるとみている」と話していました。大きく変わったこの発言の違いは、上記指標の下振れがかなり作用していると考えるのが順当と言えるでしょう。ただ通常、こういった内容の発言が伝えられれば、ドル売りが加速する動きにつながりますが、昨日は金利上昇の波に飲み込まれた格好だったようです。

 ますます介入警戒感が強まる水準へと上昇しているドル円ですが、市場の一部にも「150円台までは介入はない」といった意見や、「介入しても効果はない」といった見方も出始めてきました。安心感が強まれば強まるほど、介入時の効果は高まります。

 本日のドル円は146円50銭~148円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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