<新興国eye>トルコ7月鉱工業生産指数、前月比0.4%低下―前年比7.4%上昇

新興国

2023/9/14 9:04

 トルコ統計局が11日発表した7月の鉱工業生産指数(15年=100)は前月比(季節・稼働日調整後)0.4%低下の148.1と、前月(6月)の1.2%上昇から3カ月ぶりに低下に転じ、4月(0.9%低下)以来の低い伸びとなった。特に製造業は1.4%低下(前月は2.0%上昇)となった。対照的に鉱業・採石業は10.5%上昇(同6.0%低下)と、急加速。電気・ガス・蒸気・空調供給業も3.7%上昇(同2.0%低下)と、加速した。

 7月統計は製造業が低下に転じたことが特徴。トルコ商工会議所とS&Pグローバルが発表した最新の8月製造業PMI(購買担当者景気指数)は49.0と、前月の49.9に続き、2カ月連続で好不況の分かれ目である「50」を下回り、製造業の成長鈍化を示している。高インフレと高金利の持続が背景。銀行の商業ローン金利は38%に達している。

 一方、前年比(稼働日調整後)は7.4%上昇と、前月(6月)や5月の0.2%上昇を大幅に上回り、22年6月(9.6%上昇)以来1年1カ月ぶりの高い伸びとなった。3カ月連続で前年水準を上回った。大幅上昇は1年前の22年7月が3.2%上昇と、前月の9.6%上昇から急減速しており、前年同期の伸びが低かったため、高めの数値が出る、いわゆるベース効果もある。

 製造業の前年比は7.4%上昇(前月は1.7%上昇)と、伸びが急加速、3カ月連続で改善した。鉱業・採石業も1.7%上昇(同13.4%低下)と、14カ月ぶりに改善。電気・ガス・蒸気・空調供給業も4.1%上昇(同3.4%低下)と、12カ月ぶりに改善した。

 コロナ禍が始まったばかりの20年4月、前月比は29.3%低下、前年比は31.5%低下と大幅な落ち込みを見せたが、その後、2年超にわたり、コロナ禍による低迷を脱し、着実に回復している。最近の大きな落ち込みは2月6日に南東部を襲った大規模地震(死者数5万人超)の悪影響を受けた、2月の前月比5.9%低下、前年比8.2%低下だったが、3月以降持ち直し、今回の7月統計で震災の悪影響を完全に脱した。

 セクター別の前月比は12業種中、上昇業種は5業種、低下は6業種、横ばいが1業種だった。上昇業種のうち、最も高かったのは鉱業・採石業(10.5%上昇)、次いで電気・ガス・蒸気供給業(3.7%上昇)、エネルギー供給業(2.8%上昇)、ミディアム・ローテク(1.0%上昇)、中間財(0.3%上昇)。他方、低下業種のうち、最も低かったのはハイテク(18.6%低下)、次いで資本財(2.8%低下)、非耐久消費財(1.5%低下)、ローテク(0.8%低下)、ミディアム・ハイテク(0.5%低下)、製造業(0.4%低下)だった。横ばいは耐久消費財。

 他方、セクター別の前年比は全12業種が上昇した。上昇業種のうち、最も高かったのは資本財(25.6%上昇)、次いでハイテク(21.4%上昇)、耐久消費財(16.0%上昇)、ミディアム・ハイテク(12.8%上昇)、ミディアム・ローテク(9.7%上昇)、製造業(7.4%上昇)、電気・ガス・蒸気供給業(4.1%上昇)、中間財(3.2%上昇)、鉱業・採石業(1.7%上昇)と非耐久消費財(1.7%上昇)、ローテク(1.1%上昇)、エネルギー供給業(0.9%上昇)の順。

<関連銘柄>

 上場MSエマ<1681.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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