米8月中古住宅販売件数、前月比0.7%減の年率404万件―市場予想下回る

経済

2023/9/22 9:10

<チェックポイント>

●住宅価格は前月比3.9%上昇―価格下落には2倍の供給必要とNAR

●在庫水準は3.3カ月分―長引く在庫不足が販売を抑制

●NARは今後数カ月で過去最低を記録する可能性を指摘

 NAR(全米不動産業協会)が21日に発表した8月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比0.7%減の年率換算404万件と3カ月連続で減少し、市場予想の平均値である410万件を下回った。季節要因を無視できる前年比は15.3%減と、25カ月連続で前年水準を下回った。

 住宅供給の過不足感を示す8月時点の未販売住宅(在庫)は前月比0.9%減の110万件。住宅の販売ペースは、販売物件が8月中に市場に残っていた期間が20日間と前月と変わらず、販売ペースで換算した在庫水準も前月と同じ3.3カ月分となった。22年11月(3.3カ月分)以来の高い水準で、1年前の3.2カ月分も上回ったが、適正水準は5-6カ月分とされる。

 8月の住宅価格(中央値)は前月比0.3%上昇の40万7100ドルと、8月としては過去最高値となった。主力の一戸建ては前月比0.6%上昇の41万3500ドルと加速に転じた。22年6月のピーク時(42万900ドル)に迫る勢い。一戸建ての住宅価格は過去8カ月間で約13%も値上がりしている。NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「住宅価格が下がるには住宅供給が2倍になる必要がある」とし、深刻な供給不足が住宅価格の高騰の元凶になっているとみている。

 手ごろな価格帯の住宅供給不足と高水準の住宅価格を反映し、8月の新規住宅取得者の比率は29%と、前月の30%や過去平均の40%を下回った。

 市場では住宅ローン金利が依然高水準のため、低金利時に中古住宅を購入した所有者は持ち家の売却に慎重となり、供給不足を引き起こしていることが、住宅販売の低調の最大要因と見ている。また、深刻な住宅在庫不足に加え、住宅ローン金利が7%超に上昇し、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が低下していること、需要と供給の両方が減少していることが販売不振の要因との見方を変えていない。

 市場では住宅ローン金利が低下すれば、住宅供給が増加、住宅価格も手ごろな価格となり、販売が上向く可能性があると見ているが、ヤン氏は、最近の10年国債の利回りが上昇傾向にあるため、「住宅ローン金利は短期的に8%に達する可能性があり、今後数カ月で住宅販売が過去最低となる」と懸念を示している。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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