<新興国eye>ハンガリー中銀、ベース金利を据え置き―上限金利は2.5ポイント引き下げ正常化を完了

新興国

2023/9/27 8:45

 ハンガリー中央銀行は26日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を13.00%に据え置くことを決めた。他の主要政策金利はベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を0.50ポイント引き下げ、12.00%、また、上限を示す翌日物有担保貸出金利は2.50ポイント引き下げ、14.00%とした。市場の予想通りだった。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)以降、インフレ抑制のため、ベース金利の引き上げを継続。22年6月会合で1.85ポイント、翌7月12日の臨時会合で2.00ポイント、同9月会合で1.25ポイント引き上げた。同10月会合から据え置き転換、利上げは17会合連続で止まったが、利上げ幅は計12.40ポイントに達し、金利水準も99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となっている。ベース金利の据え置きはこれで12会合連続。他方、レンジの上限金利の引き下げは6会合連続となる。

 また、市場が注目していた、中銀がベース金利のオプションとして景気を支援するため、高目に設定されている超過準備預金への付利金利(翌日物預金金利)を1.00ポイント引き下げ、ベース金利と同じ13.00%とした。市場の予想通りだった。中銀は5月会合で3年ぶりに引き下げ、これで引き下げは5会合連続。

 これは金融システムの流動性を緩和方向に調整する措置。7月会合時、中銀は金融政策の正常化に向けた金融緩和措置であることを強調、その上で、「リスク見通しが持続的に改善すれば、ベース金利に徐々に収束させていく」としていた。中銀は今回の1.00ポイント引き下げにより、「これまでの異常な金利環境が正常化した」としている。これは22年10月に通貨フォリントの急落阻止のために導入した緊急措置の終了を意味する。

 市場では今後、主要政策金利は次回10月会合と11月会合で、それぞれ0.25ポイント引き下げられると予想している。

 インフレについては、8月の全体指数が前年比16.4%上昇(6月は17.6%上昇)、コア指数は同15.2%上昇(同17.5%上昇)と、急減速しており、中銀は今後の見通しについて、「今後数カ月間、全体指数とコア指数は低下し続け、インフレ率は年末にかけて7―8%上昇に達する」とし、その上で、「25年初めにはインフレ率は物価目標の許容範囲内に収束する」との見通しを示している。

 次回の金融政策決定会合は10月24日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ