クリアル・横田大造社長に聞く:不動産クラウドファンディング協会設立で業界のさらなる発展目指す

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2023/9/28 9:00

 クリアル(2998)はクラウドファンディングを活用した不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」の運営を手掛ける。不動産クラウドファンディングの市場が拡大する中で、一般個人投資家の保護、業界のさらなる発展を目的として、同社が発起人の1社となり、8月30日に一般社団法人不動産クラウドファンディング協会が設立され、同社の横田大造社長=写真=が代表理事に就いた。今回、横田社長に同協会の役割と今後について聞いた。

 ――不動産クラウドファンディング協会について教えてください。

 「不動産クラウドファンディングサービスを手掛ける企業は増加を続けており、現在では69社あります(8月末時点)。市場が拡大する中で、業界の信頼性や透明性の向上、また投資家保護のため、業界全体を客観的、中立的な立場で俯瞰する必要が生じています。こうした状況から、当社と、トーセイ(8923)、ADワークスグループ(2982)傘下のエー・ディー・ワークスの3社が発起人となり、不動産クラウドファンディング協会を設立しました」

 ――不動産クラウドファンディングの魅力は何ですか。

 「不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の投資家から小口資金を集め、集めた資金を元に事業者が不動産を購入し、運用期間中の賃料収入や物件売却時の売却利益を分配金として投資家に分配する資産運用サービスです。当社のサービス『CREAL』を例にとりますと、1万円から資産運用が可能で、個人投資家は1棟レジデンスから保育園などのESG(環境・社会・企業統治)不動産、ホテル、商業施設、物流施設と多様な不動産に投資できます。また、投資の全プロセスがネットで完結するということも大きな特徴です。当社はファンド組成から、運用、売却まで一貫して手掛け、物件の売却も行います」

 ――不動産クラウドファンディング協会では何をしようとしているのですか。

 「消費者保護、つまり一般個人投資家の保護を第1に考えています。そのため、情報開示が必要で、不動産クラウドファンディングのリスクとリターンが明確に分かるよう、会員となっている事業者が組成するファンドのデータベースの公開と更新や、業界のマーケットレポート、ホワイトペーパーの定期的な開示を行い業界の認知向上に努めます。業界のルール、ガイドラインの制定・周知徹底にも取り組みたく、国土交通省をはじめとした関係行政機関との連携窓口としての役割も想定しております。さらに、業界全体でテクノロジーをより活用していく必要があると考えており、活気あるセカンダリー市場のほか、ブロックチェーンや、STO(セキュリティー・トークン・オファリング)など、将来の市場拡大に向けた研究も行っていくつもりです」

 「9月28日には協会設立の記念イベントを開催します。各理事、関係行政機関の方による設立記念のあいさつのほか、成本治男氏(TMI総合法律事務所 パートナー弁護士)に業界の現状と今後について講演していただく予定です」

 ――業界の成長戦略についてはいかがですか。

 「不動産クラウドファンディングは個人における不動産投資を爆発的に普及させるポテンシャルを持っていると考えております。証券取引がネット証券の登場、ネット取引の普及で大きく変わり、個人投資家が増えたように、不動産クラウドファンディングの普及加速で、今後、不動産取引にも同じようなことが起こるのではないでしょうか。これまで不動産取引は個人で簡単にできるものではありませんでした。しかし、不動産クラウドファンディングで、不動産取引の大衆化のチャンスが生まれました。政府が現在、『貯蓄から投資へ』のシフトを進め、資産運用立国を目指し、さまざまな打ち手を繰り出しています。小口からできる不動産クラウドファンディングもその流れに乗って、さらなる拡大を目指していきます」

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