<新興国eye>タイ中銀、大方の予想に反し0.25ポイント引き上げ―インフレ上ブレリスクを警戒

新興国

2023/9/28 8:50

 タイ中央銀行は27日の金融政策委員会で、インフレ上ブレリスクを緩和するため、政策金利である翌日物レポ金利を0.25ポイント引き上げ2.50%とすることを全員一致で決めた。

 市場の大方は今回の会合で利上げサイクルを終了、金利を据え置くと予想していたが、反対に0.25ポイントの追加利上げを決めるという予想も少なくなくほぼ拮抗していた。

 中銀は20年6月から22年6月まで16会合連続で政策金利を据え置いたが、通貨バーツ安とインフレ上ブレリスクが強まったとして、22年8月会合で18年12月以来、3年8カ月ぶりに利上げ(0.25ポイント)に転換した。これで利上げは8会合連続となり、利上げ幅は計2ポイントに達した。2.50%は13年以来10年ぶりの高水準。

 中銀は会合後に発表した声明文で、前回8月会合時と同様、「景気拡大が続き、たるみ(生産設備や労働力などの余剰)が縮小する中、金融政策はインフレ率を物価目標の範囲内(前年比1-3%上昇)に持続的に維持し、長期的な金融の安定にも配慮する必要がある」とした上で、「不確実な経済見通しを考慮すると、政策余地(将来の利下げ余地)を残す必要がある」とし、今後の金融政策の調整余地を残すため、追加利上げを決めたとしている。

 また、中銀は、「インフレ上ブレリスクはエルニーニョ現象の激化による食品価格の上昇や、政府の景気刺激策による需要拡大に起因する」とし、今回の利上げは将来のインフレ圧力の上昇を抑えるため、先制的に行ったとしている。

 インフレ見通しについては、「インフレ率の全体指数は政府の生活費補助金やベース効果により、23年末まで低く抑えられる」とし、具体的には23年は1.6-2.6%上昇、コア指数は23年が1.4%上昇、24年は2.0%上昇と予想している。

 また、今後の金融政策について、中銀は、「今回の会合に向けて金融政策を段階的に正常化してきており、現在の政策金利(水準)は長期の持続的な経済成長を支えるのに適切であると判断する」とした上で、「今後の金融政策を検討するにあたり、政府の(景気刺激の)経済政策によるインフレ上ブレリスクを含むインフレと経済の見通しを考慮する」とし、現在も高水準となっている金利の据え置き、または追加利上げの可能性を示唆している。

 次回会合は11月29日に開催される予定。

<関連銘柄>

 タイSET<1559.T>、アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>、

 上場MSエマ<1681.T>、アセアン50<2043.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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