【為替本日の注目点】米9月のCPIは3.7%でドル上昇

為替

サーチナ

2023/10/13 10:10

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 149円前後でもみ合っていたドル円は米9月のCPI発表を境に149円台半ばまで上昇。その後149円83銭まで買われ、再び介入警戒感が強まる水準に。ユーロドルは反落し、1.0526近辺まで下落。株式市場は揃って反落。米金利が上昇したことを受け利益確定の売りに押される。債券は大幅に反落し、長期金利は4.7%近辺まで急上昇。金は5日ぶりに反落。原油は続落し83ドルを割り込む。

マーケット情報

9月消費者物価指数 → 3.7%(前年比)

新規失業保険申請件数 → 20.9万件

ドル/円 149.10 ~ 149.83

ユーロ/ドル 1.0526 ~ 1.0626

ユーロ/円 157.65 ~ 158.45

NYダウ -173.73 → 33,631.14ドル

GOLD -4.30 → 1,883.00ドル

WTI -0.58 → 82.91ドル

米10年国債 +0.139 → 4.697%

本日の注目イベント

中 中国9月消費者物価指数

中 中国9月生産者物価指数

中 中国 9月貿易統計

トルコ トルコ9月消費者物価指数

トルコ トルコ9月生産者物価指数

欧 ユーロ圏8月鉱工業生産

英 ベイリー・BOE総裁講演

米 9月輸入物価指数

米 9月輸出物価指数

米 10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

米 企業決算 → JPモルガン、ウエルズ・ファーゴ、ブラックロック、シティグループ

米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

 米長期金利の動きに引っ張られる展開が鮮明なドル円です。昨日発表された米9月の消費者物価指数(CPI)は、総合では前月比で「0.4%」、前年同月比では「3.7%」と、いずれも市場予想を上回っていました。またコア指数では、前月比が「0.3%」と、市場予想と一致していましたが、前年同月比では「4.1%」と、こちらは市場予想の「4.3%」を下回り、2021年以来の低い伸びとなりました。

 結局、強弱まちまちの結果が示されましたが、今月末のFOMCでの利上げ据え置き観測はやや後退することになりましたが、債券市場の反応にはやや驚きでした。債券は大きく売られ、10年債利回りは「4.7%」前後まで急騰。これがドル円を149円台後半まで押し上げる原動力になりました。米長期金利は先週一時「4.88%」まで上昇した後急速に低下し、「4.55%」程度まで下がりました。この動きが追加利上げ見送り観測を後押しした格好となり、株高を演出していましたが、昨日の急騰で再び株だけではなく、金や原油も売られています。ただ、CPIの結果だけでここまで債券が売られたのは、個人的にはサプライズでした。FRBとしても判断に迷うところですが、政策金利を高水準に維持する方針を掲げる当局の論拠にはなりそうです。ブルームバーグは、「FRBは追加利上げの扉を開けておくことになる」と表現していました。

 ブリンケン国務長官は戦闘の続いているイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相と固い握手を交わし、同国を支援することを表明しました。バイデン大統領は来週、ウクライナへの追加支援を議会に正式に要請する模様ですが、その中にはイスラエルへの支援も含まれているようです。米国防総省はイスラム組織ハマスのロケット弾を迎撃するための防空システム「アイアンドーム」用に、米国の在庫からミサイルの第1弾をイスラエルに供与したことを発表しています。これらイスラエルへの支援は、そのスピードも戦闘用の武器供与もウクライナへのそれとは明らかに異なります。ブリンケン国務長官は会見で、「イスラエルは自衛の権利がある」と述べ、フランスのマクロン大統領も「イスラエルには『テロ組織を抹殺』する権利がある」と語っています。圧倒的な軍事力の違いから、この戦争が「ロシアVSウクライナ」のように長引くことはないと思われますが、イランなどイスラム諸国の出方が引き続き注目されます。

 前日、「現行の引き締めサイクルのピークに近づいているか、もしかするとピークにあるかもしれない」と発言したボストン連銀のコリンズ総裁は12日にも同様な発言を行いましたが、9月のCPIの発表を受けて、「この日発表されたCPIは、物価安定回復には時間がかかることを再認識させるものだ」と述べると同時に、追加利上げの可能性にも言及していました。米インフレ率はピークを付けて、FRBが想定するギリギリの範囲内で低下してきましたが、問題は現在の3%台から目標である2%まで、あとどの程度の時間を要するのかという点です。ここから1%以上低下させるのは、労働市場が依然として堅調なことを考えると、数字よりも長い道のりかもしれません。

 本日のドル円は再び150円をテストするのかどうかが焦点です。「介入らしき動き」があり、ドル円が2秒ほどの間に3円近くも急落した水準です。149円~150円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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