【為替本日の注目点】中東情勢混迷を深める
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は狭いレンジ内で推移するも神経質な展開。NYの朝方には売られ149円46銭まで下げたが、その後反発。米金利が大幅に低下したものの底堅い動きが続く。ユーロドルは反落。米金利の低下に1.05台を割り込む。株式市場はまちまち。ダウは小幅に上昇したものの、他の2指数は続落。債券は急上昇。中東情勢の悪化に米国債への需要が高まり、長期金利は4.61%台に低下。金と原油は大幅高。イスラエルがハマスに大規模攻撃を行うと表明したことで、金は前日比58ドル(3.1%)上昇し、1941ドル台に。
マーケット情報
9月輸入物価指数 → 0.1%
9月輸出物価指数 → 0.7%
10月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 63.0
ドル/円 149.46 ~ 149.78
ユーロ/ドル 1.0496 ~ 1.0547
ユーロ/円 157.04 ~ 157.64
NYダウ +39.15 → 33,670.29ドル
GOLD +58.50 → 1,941.50ドル
WTI +4.78 → 87.69ドル
米10年国債 -0.085 → 4.612%
本日の注目イベント
日 8月鉱工業生産
欧 ユーロ圏8月貿易収支
米 10月NY連銀製造業景況指数
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
米長期金利の動きが大きく、為替、株、さらには商品の動きにも大きな影響を及ぼしています。先週末のNYではイスラエルがハマスに対して陸海空で、大規模な攻撃を行う計画であることを発表し、安全資産の米国債が買われ、金も大きく買われています。ただ、ドル円は方向感がないまま、149円台半ばから後半で推移しています。
イスラエルは、ハマスへの大規模攻撃を行うことから、ガザ地区北部に住む住民に南部への避難を促しており、今朝の報道ではガザ市とその周辺から60万人余りが、イスラエル軍の指示に従って南部方向に移動したと伝えられています。イスラエルのネタニヤフ首相は今回の大規模な攻撃でハマスを殲滅すると、厳しい発言を行っており、大規模攻撃は避けられそうもない状況です。これに対してイランは「イスラエルは自衛の範囲を超えている」と非難し、イランのアブドラヒアン外相は「イスラエル軍がガザへの攻撃を続け、地上侵攻に踏み切った場合、イランも対応せざるを得ない」とイスラエルに通告したことを明らかにしています。さらにエジプトのシシ大統領も、「イスラエルの対応は自衛の範囲を超えている」と批判しています。
一方米国はイランや、レバノンのヒズボラなど親イラン組織の介入を抑え込む目的で、イラン周辺の戦力の増強を行っており、原子力空母「アイゼンハワー」を東地中海に派遣することを発表しました。オースティン国防長官は「米国の態勢強化はイスラエルの安全保障に対する米国の鉄壁の関与と、国家や国家に属さない者がこの戦争を拡大しようとする試みを抑制する米国の決意を示す」と語っています。このように、中東情勢はさらに混迷を深め一触即発の状況になってきました。通常このような状況になると、米国債や金などの安全資産に加え、ドル、円、スイスフランなどの通貨が買われる傾向がありますが、そもそもその前にインフレに対する日米金融当局の政策姿勢も変動要因として存在しており、今回の事態でより不透明さが増したと言えます。先ずは、状況を見守るしかありません。
IMFアジア太平洋局のサンジャヤ・パンス副局長は14日、モロッコのマラケシュで開催された年次総会で記者団に、日本が円相場を支えるため為替市場で介入を余儀なくされる要素はないと、IMFは認識していると語っています。パンス氏は、「該当する条件は見当たらない」と述べ、「円安は主に金利差が要因で、経済のファンダメンタルズを反映している。つまり、日本国外では、どこもインフレ率が上昇している一方、日本銀行は超緩和政策を継続している」と、述べています(ブルームバーグ)。この発言はIMFの正式な見解ではないとしても、今後さらに円安が進んだ場合、日本の金融当局が介入しにくくなる可能性があるかもしれません。
米金利の動向に左右されるドル円ですが、その中でもドル高要因には、より反応するような状況かと思われます。今週は「ブラックアウト」期間前、最後の週であることから多くのFOMCメンバーによる発言機会があります。19日(木)にはパウエル議長の講演もあります。「ハト派寄り」の発言が増えて来ている中、どのような認識を示すのか注目です。
本日のドル円は148円80銭~150円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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