FCE、RPAツールと買収事業は見通し良好=永田取締役に聞く

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2023/10/23 8:50

 FCE Holdings(9564)は、知的業務を自動化するRPA(ロボティックプロセスオートメーション)のツール「RPA Robo-Pat(RPAロボパット) DX」が順調に伸びている。導入社数は前2023年9月期末の会社計画を上回り、今期も成長基盤が厚みを増しそうだ。直近の事業買収も含め、当面の見通しについて同社の永田純一郎取締役に話を聞いた。

 ――RPAロボパットDXの導入社数は今年6月末時点で1143社(前々期末は995社)に増え、9月末に定めていた計画を前倒しで達成した。

 永田取締役(以下略)「当初は一定の減速要因になるとみていたフローティングライセンス(ソフトのライセンスをPC<パソコン>ごとではなくサーバーにひも付ける許諾方式)への移行が、むしろ吉と出たようだ。複数のPCでライセンスを使い回せるため、コスト削減の一環で契約を絞るケースも出てくるのではと考えていた。しかし、結果的にはフローティングによって活用が促進され、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)機運が高まった」

 「既存客の間で横展開されていく動きもみられる。ある部門での効率化の実現例が、未導入の別の部門のニーズを呼び起こしている。もともとRPAロボパットDXの解約率は極めて低いため、ストックが積み上がっていく状況だ。また、同ツールはITレビューサイトによる今年の『最強ITツール』で全約7300製品中第1位を獲得しており、このことが新規客の開拓に関しても有効な武器になっている」

 ――中期経営計画ではRPAロボパットDXの導入社数を24年9月末1250社以上、25年9月末1380社以上としている。ここまでの増加ペースを踏まえると少し保守的ではないか?

 「導入社数が増加する勢いは足元もまったく衰えていない。商品力に加え、業務改善をコンサルティングできる強みも支持されており、開拓余地はまだまだ大きい。もちろん新規の客数がより伸びていく可能性はあるが、既存客の満足度を高めていくこととのバランスが重要だと考えている。それにより、LTV(※顧客生涯価値)が増えていく見通しだ」

※顧客と取引を開始してから終わるまでの利益の総額

 ――7月には、データベースに基づくソリューションを提供するKMT研究所の全事業を買収した。その狙いや、今後に見込まれる展開はどうか。

 「ここ数年DXという言葉が盛んに使われているが、ITによる業務システムそのものは従来から日本企業の間に浸透していた。しかし、不十分なオペレーション(運用)ゆえに生かし切れていないケースが多く、われわれはこれまでRPAを駆使してそうした弱点の克服に貢献してきた。残るボトルネックの1つはデータの取り扱いにあると思われ、KMT研究所のサービスはまさにそこをカバーする」

 ――具体的にはどういうことか?

 「どんなに良いシステムを入れ、オペレーションを自動化したとしても、データが重たく、その処理に時間を要してしまうと生産性は高まらない。特に日本企業は、本来は表計算に使うエクセルファイルを、膨大なデータとしてため込んでしまっている傾向がある上、それぞれが関連付けられていない場合が多く、目詰まりを起こす原因になっている」

 「KMT研究所は、より効率的に扱えるデータベースを顧客に提供し、クラウドなどでの処理を高速化する技術を持っている。また、導入に特殊なハードウエアも必要としないため、手軽に最適な環境を構築できる。今回の買収を通じ、データベースの提供という事業領域の拡大はもちろん、RPAロボパットDXとの組み合わせによって、より幅広く顧客のDXニーズに対応していけるだろう」

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