米9月住宅着工件数、前月比7%増の135.8万件―増加に転じるも市場予想下回る

経済

2023/10/19 10:04

<チェックポイント>

●一戸建て着工件数、前月比3.2%増―アパートは同17.1%増

●一戸建て許可件数、前月比は8カ月連続増加―アパートは急減

●市場、一戸建て着工件数は今後減少傾向と予想

 米商務省が18日に発表した9月の住宅着工件数(季節調整値)は、年率換算で前月比7%増の135万8000件と、前月(8月)の同12.5%減の126万9000件(改定前は同11.3%減)から増加に転じ、3月(138万件)以来、6カ月ぶりの高水準となった。ただ、市場予想(137万―138万件)を下回った。前年比は7.2%減だった。

 内訳は主力の一戸建てが前月比3.2%増(前年比8.6%増)の96万3000件と、前月の同5.6%減(改定前は4.3%減)から増加に転じ、7月(98万8000件)以来の高水準に戻った。増加に転じたことは明るい材料だが、5月の直近ピーク(101万2000件)を4.8%下回っている。一戸建てとは対照的に、月毎に変動が激しいアパート(5世帯以上)は同17.1%増(前年比31.5%減)の38万3000件と急増、7月(45万4000件)以来の高水準となった。市場では金利高を反映し、一戸建てよりも賃貸向けアパートが急増したと見ている。

 一戸建ては住宅ローン金利(30年固定金利型ローンの金利)が10月12日時点で年7.57%と、23年ぶりの高水準となっているため、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が過去最低水準にまで低下しており、住宅価格の高騰もあり、住宅購入需要は抑制されている。

 バックログ(受注残)は一戸建てが前月比横ばいの14万2000件にとどまった。アパートは同0.8%増の13万4000件となり、この結果、全体では同0.7%増(前年比6.6%減)の28万1000件となった。

 一方、先行指標である建築許可件数は前月比4.4%減の147万3000件と、前月の同6.8%増から3か月ぶりに減少に転じた。7月(144万3000件)以来の低水準。ただ、市場予想(144万8000ー145万件)は上回った。

 内訳は主力の一戸建てが同1.8%増の96万5000件と、8カ月連続で増加し、22年5月(103万3000件)以来1年4カ月ぶりの高水準。他方、アパート(5世帯以上)は同14%減の45万9000件と、前月の大幅増(25.5%増)から急減した。前年比は一戸建てが11.6%増、アパートは31.6%減と、依然、大幅に前年水準を下回っている。全体の前年比は7.2%減だった。

 市場では建築業者は現在の高金利に絶望的になっているため、今後数カ月は着工件数は減少に向かう可能性が高いと悲観的に見ている。建築許可が下りたあとの建築中件数は、一戸建てが前月比0.7%減の67万4000戸と、減少傾向が続いている。需要低迷で新築在庫が増加、着工にブレーキがかかっている。アパート(5世帯以上)は同0.7%減の98万6000戸と、2カ月連続で減少、全体では同0.7%減(前年比1.3%減)の167万6000戸となった。

 市場では住宅ローン金利の上昇により、住宅購入者のアフォーダビリティが低下しているため、米利上げサイクルが終了、利下げに転換し、住宅ローン金利が6%未満になるまでは新築需要は好転しないと見ている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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