ECB、政策金利を4.50%に据え置き―市場予想通り

経済

2023/10/27 10:04

<チェック・ポイント>

●据え置きは22年6月会合以来

●コアインフレを示す指標の大半が緩和―物価上昇圧力は依然高いとも指摘

●中東情勢の緊迫化で「成長鈍化は事実」と

 欧州中央銀行(ECB)は26日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を4.50%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。据え置きは22年6月会合以来、11会合ぶり。

 ECBは会合後に発表した声明文で、「コアインフレを示す指標の大半が緩和している」とし、最近のインフレ率の大幅低下を受け、金利据え置きを決めたとしている。一方で、物価上昇圧力は依然高いとも指摘している。

 ECBは今後の金融政策のフォワードガイダンス(金融政策の指針)について、現在の金利水準が長期的に維持されれば、インフレ率が物価目標の2%上昇に抑えられるとし、利上げサイクルを一時停止、または終了する可能性を示唆した。

 ただ、前回会合時と同様、会合ごとに経済やインフレの動向を示すデータに基づいて判断する方針を維持している。ラガルドECB総裁も会合後の会見で、「金利がピークに達していると判断する気はない」とし、その上で、「金融政策はデータに依存しており、インフレ見通しやコアインフレ、金利が十分に機能しているか否かという3つの基準に基づいて判断し、会合ごとに決める」とし、将来的にさらに利上げする可能性を否定していなかった。その上で、総裁は、「時には何もしないことが行動そのものであり、金利を据え置くという決断には意味がある」とし、FRB(米連邦準備制度理事会)と同様、今後の金融政策に利上げか停止かの選択肢を残した。

 また、中東情勢の不確実性が経済に与える影響について、「成長が鈍化していることは事実として分かっている」とした上で、次回12月会合で新しい経済予測を発表するとした。

 このほか、ECBは20年3月の緊急理事会で新型コロナ危機対策として導入を決めた緊急債券買い入れプログラム「PEPP」(総額1兆8500億ユーロ)による資産買い入れを22年3月末で終了したが、PEPP終了後のQE政策についても、21年12月会合での決定通り、PEPPによって買い入れた保有国債の満期償還金を少なくとも24年末まで再投資することも再確認した。

 次回の会合は12月14日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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