【為替本日の注目点】ドル円、決定会合でのYCC再修正報道で148円台に

為替

サーチナ

2023/10/31 10:11

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円はNYの朝方、日経電子版の記事に反応し、148円81銭まで売られる。日銀は本日の決定会合でYCCの再修正を議論するとの報道。ユーロドルは反発し、1.06台前半まで買われる。株式市場は3指数が揃って大きく上昇。ダウは500ドルを超える上昇を見せ、S&P500も1%を超える上昇。ガザ侵攻を巡る懸念が後退したとの見方が背景。債券は反落。長期金利は4.89%台に上昇。金は4日続伸。原油は楽観的な中東情勢の見方に3ドルを超える大幅安。

マーケット情報

ドル/円 148.81 ~ 149.85

ユーロ/ドル 1.0582 ~ 1.0625

ユーロ/円 158.01 ~ 158.92

NYダウ +511.37 → 32,928.96ドル

GOLD +7.10 → 2,005.60ドル

WTI -3.23 → 82.31ドル

米10年国債 +0.060 → 4.894%

本日の注目イベント

日 9月失業率

日 9月鉱工業生産

日 日銀金融政策決定会合

日 植田日銀総裁記者会見

中 10月中国製造業PMI

中 10月中国サービス業PMI

欧 ユーロ圏7-9月期GDP(速報値)

欧 ユーロ圏10月消費者物価指数

米 7-9月雇用コスト指数

米 8月ケース・シラ-住宅価格指数

米 8月FHFA住宅価格指数

米 10月コンファレンスボード消費者信頼感指数

 「日銀、金利操作再修正へ」、「長期、上限1%超柔軟に」

 今朝の日経新聞1面トップ記事に、日銀が本日の金融政策決定会合で、現在1%としている長期金利の上限を柔軟にする案を議論すると伝えています。この記事の内容は、昨日のNYの朝方には電子版で公開されており、NYの朝方にドル円は148円81銭近辺まで売られています。筆者は昨日の「今週のレンジ予想」(ウィークリーレポート)で、今回は日銀が動く可能性が高いと予想しましたが、昨日の債券市場では円の長期金利がさらに上昇し、0.890%を記録しており、上限の1%に迫っていました。株式と債券が売られ、さらに為替市場では円も売られる「催促相場」が強まっていたことから、日銀に対する政策修正への圧力も高まっている状況でした。

 記事は、「連続指し値オペなど、運用などを改めることで、一定程度1%を上回る金利上昇を容認する案」としており、「市場実勢に配慮することで日銀の国債購入が過度に膨らまないようにし、投機筋が債券を売り浴びせる状況を未然に防ぐ考えだ」と説明しています。ドル円は先週一時150円77銭前後まで売られる局面がありました。米金利が上昇し、円金利も上昇してはいるものの、絶対的な日米金利差は一向に縮小せず、加えて日銀はかたくなに保守的な姿勢を維持していることもあり、円売りが一段と強まった格好でした。実際にどのような政策修正が行われ、どのような議論が行われたのかは、本日の決定内容と植田総裁の会見を待つしかありませんが、決定内容と総裁の発言次第では円が買われる可能性がありそうです。ただそれでも上で述べたように日米金利差は依然として大きく、「円の上昇も限定的だ」といった声もすでに出ています。ブルームバーグは、「円はドルに対して上昇しているが、日銀が政策を引き締めるとしても、円には引き続き逆風が吹きつける。例えば、日銀が1%前後まで10年債利回りの上昇を容認するとしよう。それでも、米10年債利回りは同年月の日本国債に比べ3.89ポイントほど高い。過去5年間の平均が約200ベーシスポイントだったことと比較して、依然として魅力的なスプレッドだ」と報じています。

 昨日のNYではダウが500ドルを超える上昇を見せ、WTI原油価格はハマスがイスラエルを攻撃して以来最大の下落幅を記録しています。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ侵攻は、懸念されたほど大規模ではないと受け止められたことが背景のようですが、これは楽観的過ぎると思われます。イスラエル軍はガザ地区への地上部隊を増やしているとの報道もあり、さらにイスラエルは総延長距離が500キロを超えると言われているガザ地区の地下トンネル網へも大規模な空爆を行っており、これは、今後イスラエルの地上軍が進行した際に攻撃される芽を事前につぶしているとの報道もあります。また今月7日にハマスによる奇襲攻撃を防げなかった責任を巡り首相退陣を求める圧力が強まる中、ネタニヤフ首相は辞任する考えはないとしながら、「私を退陣させようと思うのはハマスだけだ。停戦を求めることはイスラエルにハマスへの降伏を求めるのと同じだ」と述べ、停戦の意思がないことも明確にしています。さらに今朝はイラク西部の空軍基地に向けてロケット弾が4発発射されたとロイター通信が報じています。イラン、ヨルダン、イラクなど中東諸国を巻き込む紛争へと拡大する懸念が、日増しに高まっているのが現状です。終わりの見えない今回の戦争で、ハマス側の死者数は8300人を超えていると報道されています。

 本日のドル円は148円~150円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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