FOMC、政策金利を据え置き―2会合連続の据え置きはゼロ金利解除後で初

経済

2023/11/2 9:17

<チェックポイント>

●家計や企業の信用状況の引き締まりがインフレを抑制

●パウエル議長、今後数カ月で経済の軟化とインフレの一段の低下を予想

●次回会合での追加利上げの可能性は否定せず

 FRB(米連邦準備制度理事会)は1日のFOMC(公開市場委員会)会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。22年3月に利上げサイクルを開始してから2会合連続の据え置きは初めて。

 FRBは政策金利を据え置いたことについて、雇用者数の伸びや失業率の低さ、インフレ率の高さなどを指摘したうえで、「家計や企業の信用状況の引き締まりにより、経済活動や雇用、インフレが圧迫される可能性が高い」とし、過去の累積的な利上げに伴う利上げ住宅ローン金利や企業の借り入れコストの上昇がインフレを抑制する効果があることを強調した。

 ただ、FRBは前回会合時と同様、「インフレリスクに細心の注意を払っている」とし、前回会合時と同様、今後の追加利上げの可能性を明確には否定していなかった。

 今回の声明文は、追加利上げを決めた7月会合時と同じ文言が使われており、据え置きと追加利上げの理由に違いが見られないが、FRBは、「今後の経済と金融の動向次第」との文言を引き続き使っており、市場に対し、今後も利上げするかもしれないし、そうならないかもしれないという2方向の選択肢を与えている。

 パウエルFRB議長は会合後の会見で、米経済のソフトランディング(緩やかな調整)の可能性について、前回会合時と同様、「リセッション(景気失速)はFRBのスタッフは予測していない」とし、また、「可能な限り、(経済への)最小限のダメージで物価安定を取り戻したい」と述べた。また、今後数カ月で経済が軟化し、インフレの一段の低下を誘うと予想している。

 FOMCの結果は市場予想通りだったが、パウエルFRB議長の会見は「ハト派」と受け止められたようで、市場では今年最後となる次回会合でも利上げを見送るとの見方が強まっている。

 ただ、一部では今回の据え置きを「タカ派的な一時停止」とみている市場関係者もいて、インフレ率の伸びがFRBの物価目標の2%まで抑えられていないため、12月会合で利上げを再開するとの見方も根強い。金利据え置き期間の延長が利上げの一時停止なのか、それとも利上げサイクルの終了なのかは、今後数カ月間の雇用市場とインフレの強さ次第とみられる。

 次回会合は12月12-13日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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