来週の東京外国為替市場見通し=雇用統計確認後はFRB高官発言を注視する相場続く
予想レンジ:1ドル=148円50銭-151円50銭
10月30日-11月1日のドル・円は上昇した。週初10月30日は、翌日まで開催の日銀金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)が再修正されるとの観測報道が流れ、円買いが進んだ。31日、日銀は長期金利の上限を1.0%に設定し同水準を超える取引を容認する運用の柔軟化を決定したが、おおむね事前の報道通りだったため円売り・ドル買いが進行し、フシ目の1ドル=150円を上抜けた。11月1日、神田真人財務官が為替介入を含め「スタンバイ」状態にあると発言し、ドル・円の上値を抑制。同日、FOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を2会合連続で据え置いたほか、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見がハト派寄りと捉えられ、米長期金利が低下しドル・円は下落した。
パウエルFRB議長はFOMC後の会見で、追加利上げの余地を残しつつも、足元の米長期金利の上昇が金融引き締めの必要性を低下させる可能性に言及。日本の当局による為替介入や日銀の緩和路線の修正も意識される中、当面のドル・円は上値の重い推移が続きそうだ。もっとも、FRBの利上げサイクルが終了したと判断するのは早計で、目先は3日発表の米10月雇用統計を見極める展開。市場では非農業部門雇用者数の大幅な伸び幅縮小と平均時給の伸びの鈍化が予想され、ドル・円の下押し要因になり得るが、思わぬ好結果となれば12月会合での追加利上げ論が再び勢いを増す可能性がある。
週明け以降はFRB高官の発言機会が相次ぐ。特に、パウエルFRB議長がIMF(国際通貨基金)主催イベントの金融政策をテーマとした討論会に参加予定で、金融市場の変動要因になりそうだ。経済指標では米9月貿易収支、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数および同大学調査の期待インフレ率などが発表予定。なお、米国は5日に夏時間が終了するため注意したい。
ドル・円はチャート上で、直近高値1ドル=151.71円(10月31日)が上値メド。下方向では、日銀金融政策決定会合前に付けた安値148.80円(10月30日)が意識される。
提供:ウエルスアドバイザー社
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