【為替本日の注目点】ドル円146円台から反発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
東京時間朝方には146円66銭前後まで売られたドル円はNYでは反発。147円91銭まで買われたがその後値を崩す。ユーロドルは1.10台から反落。株式市場はまちまち。ダウは小幅に上昇したが他の2指数は反落。前日同様、米金利低下が株価の上昇要因にはつながらず。債券は続伸。長期金利は4.2%台まで低下し、およそ3カ月ぶりの低水準に。金は4日続伸し2067ドル台まで買われる。原油も大幅に続伸。
マーケット情報
7-9月GDP(改定値) → 5.2%
ドル/円 147.08 ~ 147.91
ユーロ/ドル 1.0961 ~ 1.0994
ユーロ/円 161.52 ~ 162.20
NYダウ +13.44 → 35,430.42ドル
GOLD +6.90 → 2,067.10ドル
WTI +1.45 → 77.86ドル
米10年国債 -0.065 → 4.255%
本日の注目イベント
豪 豪7-9月期民間設備投資
豪 豪10月住宅建設許可件数
日 10月鉱工業生産
中 11月中国製造業PMI
中 11月中国サービス業PMI
独 独11月雇用統計
欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏10月失業率
欧 ラガルド・ECB総裁講演
米 新規失業保険申請件数
米 10月個人所得
米 10月個人支出
米 10月PCEデフレータ(前月比)
米 10月PCEデフレータ(前年比)
米 10月PCEコアデフレータ(前月比)
米 10月PCEコアデフレータ(前年比)
米 11月シカゴ購買部協会景気指数
米 10月中古住宅販売成約件数
ドル円は前日のNY市場でのドル売りの影響もあり、昨日の東京市場朝方には147円台を割り込み、146円66銭前後まで売られる場面がありました。日経平均株価が大きく下げていたことも影響したようですが、その後は147円台前半でもみ合いましたが、NYでは米金利の低下にもかかわらず一時は147円91銭まで反発しました。現在、ドル円は「一目均衡表」の雲の下限近辺でもみ合いを続けていますが、雲の下限である「先行スパン2」は147円53銭辺りにあり、その水準を下回ってはいるものの、完全に下抜けしたと判断するにはもう少し時間が必要です。
米長期金利の低下傾向が続き、昨日はおよそ3カ月ぶりとなる4.2%台まで低下してきました。来月のFOMC会合では利上げが見送られるとの観測がすでに市場のコンセンサスになっているだけではなく、来年夏場以降には「利下げが開始される」といった見方も高まりつつあります。ただ、昨日のFOMCメンバーの発言は足並みが揃っておらず、前日のウォラー理事のような反応には至っていません。リッチモンド連銀のバーキン総裁はCNBCの会議で、「インフレは自然かつスムーズに下がってくるなら、素晴らしいことだ。しかし、インフレが再燃する場合は、金利に関してさらに行動するという選択肢を持っておきたいと思う」と慎重な発言をしています。
一方、アトランタ連銀のポスティック総裁は「いくつかの重要な流れに関して、明確性が増しているとの感触を持っている」と指摘し、「われわれの調査や企業経営者らの情報に基づくと、インフレの下向き軌道は続く可能性が高いと思われる」と語り、さらに、「われわれの情報では、経済活動は今後数カ月に減速すると考えられる。景気抑制的な金融政策と金融環境の引き締まりで経済活動が一段と抑制されていることが一因だ」と説明し、ハト派寄りの楽観的な発言をしています。
米第3四半期(7-9月)のGDP改定値は速報値の「4.9%」から「5.2%」に上方修正され、約2年ぶりの高い伸びとなりました。設備投資と政府支出が上方修正され、個人消費は速報値から下方修正されましたが、大崩れはしていない印象です。5.5%まで政策金利を引き上げ、景気抑制的な政策下にあるにもかかわらず、米経済は底堅い動きを見せ、どうやらリセッション入りは回避されたようです。
イスラエルとパレスチナ自治区ハマスとの戦闘休止は2日間延長されるようですが、それ以上の延長の可能性は、現時点では難しいようです。イスラエルのネタニヤフ首相は29日、「最後まで戦うということに戻らない状況はない。これは私の方針だ」と発表文で主張し、「これを戦時内閣全体および政府全体、兵士、市民が支持している。われわれはまさにそうするつもりだ」と述べています。ただ、今回の非人道的攻撃では国内にも批判の声もあり、昨日のNHKの報道ではイスラエル国民の支持率はネタニヤフ氏よりもガラント国防相の方が圧倒的に高いことを伝えていました。ネタニヤフ氏もここに来て、やや「プーチン化」してきたような印象があります。
本日は注目のインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数が発表されます。事前予想はいずれも年率で、デフレータが「3.0%」、コアデフレータは「3.5%」と見込まれており、9月の数値からはいずれも鈍化していると予想されています。鈍化傾向がより鮮明になれば、株と債券が買われ、ドルが売られ易いと見ています。
本日のドル円は146円~148円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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