【為替本日の注目点】11月の米雇用統計良好
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
前日141円台後半まで売られたドル円は反発。11月の雇用統計が市場予想を上回る結果を示したことで米金利が上昇し、ドル円は145円22銭まで買われる。ユーロドルは続落。ドルが反発したことで1.0724まで下落。株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは130ドル上昇し、年初来高値を更新。債券は続落。長期金利は4.22%台に。金は大幅に続落。原油は7日ぶりに反発。
マーケット情報
11月失業率 → 3.7%
11月非農業部門雇用者数 → 19.9万人
11月平均時給 (前月比) → 0.4%
11月平均時給 (前年比) → 4.0%
11月労働参加率 → 62.8%
12月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 69.4
ドル/円 143.77 ~ 145.22
ユーロ/ドル 1.0724 ~ 1.0786
ユーロ/円 154.83 ~ 156.02
NYダウ +130.49 → 36,247.87ドル
GOLD -31.90 → 2,014.50ドル
WTI +1.89 → 71.23ドル
米10年国債 +0.080 → 4.226%
本日の注目イベント
英 英11月消費者物価指数
前日141円台後半まで売られたドル円は、先週末のNY市場で145円台まで反発しました。短期的には売られ過ぎたことと、11月の雇用統計が市場予想を上回ったことで米金利が上昇し、ドルを押し上げました。
11月の非農業部門雇用者数は「19万9000人の増加」と、市場予想の「18万5000人」を上回り、さらに失業率も予想の「3.9%」に対して「3.7%」と低下していました。雇用者数の上振れは、ストライキを行っていた自動車メーカー従業員の職場復帰が数字を3万人押し上げたとされていますから、実質的には予想を下回っていたことになります。ただ、平均時給は前月比で「0.4%」と、今年最大の伸びに並ぶ上昇率であったことから、米労働市場は依然として底堅いと見られます。注目される今週のFOMCですが、今回の結果を踏まえても追加利上げにはつながらないと見られます。「今回のデータの全体像を見れば、FOMCはインフレ率を確実に目標に戻すため辛抱強い姿勢を維持できるだろう」と、ブルームバーグは報じています。またこの日発表された12月のミシガン大学消費者マインドは「69.4」と4カ月ぶりの高水準でしたが、1年先のインフレ期待は「3.1%」に低下しており、前月比では「1.4%」も下げ、これは2001年10月以来の大きさでした。FRBが積極的に景気抑制的な政策を実施してきましたが、それでも米経済はリセッション入りを回避し、ソフトランディングできる可能性が高いことを示していると見て取ることが出来ます。
イスラエルの攻撃によりパレスチナ自治区ガザでは、被害を受けた民間人犠牲者の姿が連日TV等で放映されていますが、国連の安全保障理事会は、同地区での停戦を求める決議案を採決にかけましたが、米国が拒否権を行使したため否決されています。理事国15カ国のうち決議案に反対したのは米国のみで、英国は棄権し、残りの13カ国が賛成票を投じました。バイデン政権は民間人の死者数の多さに懸念を表明しながらも、停戦を求める決議案には反対し、9日には戦車の弾薬約1万4000発をイスラエルに売却することも発表しています。これらの行動に対しは米国内でも反対する声が高まっており、バイデン政権には強い逆風となっています。「11月末、若者たちはホワイトハウス前に集まり『大虐殺ジョー』と、バイデン大統領を批判することをためらわなかった。2024年11月の大統領選を控え、いまや『停戦なければ投票なし』が合言葉になっている」(日経新聞)と報じられています。ここのままではトランプ氏が再びホワイトハウスの主になる可能性が高まりそうです。
荒っぽい動きが続いているドル円ですが、今週も引き続きその傾向が維持されそうです。今週は13日にはFOMCがあり、「利上げ見送り」でほぼ間違いないと思われますが、パウエル議長がどのような認識を示すのか、その内容次第では相場が乱高下しそうです。また、14日にはECB理事会があり、来週には注目の日銀金融政策決定会合も控えており、まだまだ相場は落ち着きません。本日のドル円は144円~145円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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