<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を0.75ポイント引き下げ―利下げ継続を示唆

新興国

2023/12/20 8:49

 ハンガリー中央銀行は19日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を0.75ポイント引き下げ、10.75%とすることを決めた。市場の予想通りだった。

 また、中銀は他の主要政策金利についてもベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を9.75%、また、上限を示す翌日物有担保貸出金利も11.75%にそれぞれ同率引き下げた。新金利は20日から適用される。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)でインフレが加速したため、22年9月会合まで17会合連続で利上げを実施、利上げ幅も計12.40ポイントに達した。金利水準が99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となったため、22年10月会合から据え置きに転換、9月会合まで12会合連続で据え置いた。しかし、最近のインフレの鎮静化を受け、10月会合で、コロナ禍の20年7月以来、3年3カ月ぶりに利下げに転換。今回で3会合連続となり、利下げ幅も0.75ポイントのペースを維持している。

 中銀は今回のベース金利の引き下げについて、「ハンガリー経済は明らかにディスインフレ(物価上昇率の低下)の軌道に乗っており、インフレリスクが一段とが緩和した。これにより金利の引き下げの継続が可能になる」とし、前回会合時と同様、金融政策の正常化に向けた措置であることを改めて強調。

 その上で、今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「外部リスク(世界的なディスインフレと市場の安定性を巡るリスク)を考慮し、慎重なアプローチをとる必要がある。中銀は最新のマクロ経済のデータやインフレ見通し、リスクの見通しを注視しており、今後数カ月以内に金融政策のさらなる変更を決める」とし、追加利下げの可能性を示唆した。

 利下げペースをめぐっては、政府は景気刺激のため、中銀に対し、より大幅な利下げを求めているが、中銀は利上げペースには慎重なスタンスを主張している。

 インフレについては、11月の全体指数が前年比7.9%上昇と、10月の9.9%上昇や9月の同12.2%上昇、8月の同16.4%上昇から急低下しており、中銀はインフレ見通しについても、前回会合時と同様、「今後数カ月間、全体指数とコア指数は低下し続ける」とした上で、25年にはインフレ率は物価目標の許容範囲内に収束すると見ている。中銀は23年全体のインフレ率を17.6-17.7%上昇(前回会合時は17.6-18.1%上昇)、24年は5.5%上昇(同4.0-6.0%上昇)、25年と26年は2.5-3.5%上昇(同2.5-3.5%上昇)と予想している。

 次回の金融政策決定会合は24年1月30日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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