【為替本日の注目点】米長期金利3.84%台まで低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
140円台後半を付けてからのドル円の戻しも一服。米金利が低下し、株価も大きく下げたことで143円32銭までドル売りが進む。欧州市場では143円26銭近辺まで下げる。ユーロドルはやや水準を下げたものの、ほぼ変わらず。株式市場では上昇が止まる。利益確定の売りに押され3指数が揃って大幅安。債券は反発。長期金利は3.84%台まで急低下。金は反落し、原油は続伸。
経常収支(7-9月) → -200.3b
11月中古住宅販売件数 → 382万件
12月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 110.7
マーケット情報
ドル/円 143.32 ~ 143.93
ユーロ/ドル 1.0930 ~ 1.0975
ユーロ/円 156.96 ~ 157.73
NYダウ -475.92 → 37,082.00ドル
GOLD -4.40 → 2,047.70ドル
WTI +0.28 → 74.22ドル
米10年国債 -0.084 → 3.847%
本日の注目イベント
トルコ トルコ中銀政策期金発表
米 新規失業保険申請件数
米 7-9月GDP(確定値)
米 12月リッチモンド連銀製造業景況指数
米 11月景気先行指標総合指数
ドル円は昨日の東京時間から上値を重くし、143円台前半まで下げて来ました。FOMC後のパウエル議長の予想外のハト派発言で、政策金利引き下げがかなり前倒しになるといった観測も、その後のFOMCメンバーが概ね慎重でタカ派寄りの発言を繰り返し口にしたことで、やや冷水を浴びせられた格好です。また、植田日銀総裁の「チャレンジング発言」で、盛り上がった大規模金融緩和策の修正観測も、同じように沈んでいます。総裁は「一層気を引き締める」といった意味合いで述べたものだと釈明していました。このような状況の中、ドル円の方向性も定まりません。2024年に向け、ドル円の方向性を決定する重要な要因の一つである「日米金利差」は確実に縮小すると見ていますが、それでも「どこまで縮小するのか」といった見方や、あるいは「縮小したとしても絶対的な金利差は依然大きい」と捉えることもでき、一気に円高方向に向かうかどうかは不透明な部分があります。
昨日のNY市場では12月の消費者マインドが好調だったにもかかわらず、債券が買われ、株価は大きく下げました。コンファレンスボードが発表した12月の消費者マインドは「110.7」と、市場予想の「104.5」を大きく上回り、2021年3月以来となる高水準でした。労働市場とインフレの見通しに対する消費者の楽観的な見方が強まったことを表していると見られます。しかし、株式市場では連日最高値の更新が続いていたため、クリスマス休暇を前に利益確定の売りに押されたものと思えますが、各金融市場を全体的に見渡せばセオリーからは離れた動きでした。米利下げのタイミングを巡ってはメンバー内でも意見が錯綜しているようにも思えますが、昨日のインタビューで語られたフィラデルフィア連銀のハーカー総裁の言葉が、現状最も適切であり、FRBの置かれている状況を言い表していると思います。ハーカー総裁はラジオとのインタビューで、「金利を下げ始めることが重要だ。しかし、あまり急ぐ必要はないし、今すぐやるつもりもない」と述べています。
欧米では明日辺りからクリスマス休暇に入る市場関係者も多いかと思われます。相場の方向性は見えにくい状況が続いていますが、通貨オプション市場ではドル円のボラティリティーが低下しており、「このボラの低下傾向が円安要因になる」と指摘する向きもあります。ドル円1カ月物オプションのボラティリティーは今朝の時点で「8.925」と、今月6日以来の低水準に沈んでいます。日米金利差をベースに行われる「キャリートレード」はボラティリティーが高まると敬遠される傾向があります。為替の値動きが大きければ大きいほど、「金利差」どころではなくなって来るからです。「キャリートレード」が活発になるのは低ボラティリティーが基本になるため、足元の低水準では取引が活発になり、従って「ドル買い円売り」が増えるといった見立てです。この指摘も含めてドル円の方向性は不透明になっています。ひょっとしたら年内は140-145円のレンジ内で推移するのかもしれません。
本日のドル円は142円70銭~144円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
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