<新興国eye>チェコ中銀、予想通り0.25ポイント利下げ―全員一致

新興国

2023/12/22 12:46

 チェコ国立銀行(中銀)は21日の金融政策決定会合で、インフレ鈍化を受け、政策金利の2週間物レポ金利を0.25ポイント引き下げ、6.75%とすることを全員一致で決めた。市場の大方の予想通りだった。

 中銀はインフレ加速を受け、21年6月会合で利上げを再開。22年6月まで利上げを決めた。利上げ幅が計6.75ポイントに達したことから同8月に据え置きに転じ、利上げサイクルは9会合連続で止まった。金利据え置きは前回11月会合まで11会合連続だった。今回の利下げ転換は20年5月以来3年7カ月ぶり。6.75%の政策金利は依然、1999年5月(6.90%)以来、24年7カ月ぶりの高水準となっている。

 利下げに転換したことについて、中銀は、「24年のインフレ率が大幅に低下すると予想している。このため、主要政策金利の段階的な引き下げに向けて慎重な措置を講じる時期が来た」とし、インフレの低下基調を強調している。

 今後の金融政策について、中銀は、「今後数年間のインフレ見通しには依然、インフレ期待の上昇リスクがある。これらのリスクが顕在化すると、インフレ率は大幅に低下するものの、2%上昇の物価目標の達成は困難になる」とした上で、「中銀は金融引き締め政策を継続し、さらなる利下げの可能性に慎重に取り組む必要がある」とした。

 また、追加利下げの可能性については、「さらなる金利引き下げのペースは主にディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)の持続性や財政政策の経済への影響、雇用市場と国内外の需要の動向に依存する」とし、当面は段階的な利下げの可能性を示唆した。ただ、中銀は、「インフレ率が予測通りに低下しない場合、依然として制限的な水準で、金利引き下げサイクルをいつでも一時停止、または終了する」としている。

 インフレ率は22年秋のピーク以降、著しく低下、全体指数は22年9月の18.0%上昇から11月時点で7.3%上昇に、コア指数も14.7%上昇から3.9%上昇に低下した。だが、中銀は、「インフレは依然として容認できない水準にある。インフレが完全に抑制され、2%上昇の物価目標近くで安定するまでインフレとの戦いを続ける決意を確認する」としている。中銀ではインフレ率は24年初めに3%上昇と、物価目標の許容レンジ(1-3%上昇)の上限に収束すると見ている。

 インフレリスクについては、中銀は、「インフレ期待が抑制されなくなる恐れや、間接税の変更が物価に与える影響がインフレの主な上振れリスクとなっている」とし、インフレの見通しに警戒感を示している。

 市場では24年の経済予測でインフレ率が2%上昇の物価目標の範囲内に収束することが予測されている場合、段階的な利下げを遅らせることはないと見ている。

 中銀が前回会合で発表した最新の11月経済予測(金融安定報告書)によると、24年の平均インフレ率は2.6%上昇、25年にはさらに2.1%上昇に低下すると予想。他方、コアインフレ率は24年には3.0%上昇に伸びが加速するとして警戒している。景気見通しについては23年のGDP伸び率は0.4%減と、縮小。24年は約1.2%増と、プラス成長に戻ると見ている。

 次回の会合は24年2月8日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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