来週の東京外国為替市場見通し=FRBの利下げ時期を探る動きが継続

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2024/1/12 16:31

予想レンジ:1ドル=143円00銭-147円00銭

 1月8-11日のドル・円は上昇した。週初8日、米ニューヨーク連銀が公表した12月調査の1年インフレ期待が前回から低下し重荷になったが、米アトランタ連銀ボスティック総裁が金融引き締め姿勢を堅持し、持ち直した。9日、米長期金利が低下しドル・円は下落。10日、米ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁が早期利下げをけん制し上昇した。

 11日、米12月CPI(消費者物価指数)、同コアCPIが市場予想を上回り、米国のインフレ加速が警戒され急伸したが、コアCPIでは前年比の伸び幅が前月から縮小したことや、一部のFRB(米連邦準備制度理事会)高官から利下げに関する発言もあり、米長期金利が急低下しドル・円は急速に伸び悩んだ。

 ドル・円は足元の米国の景気動向、インフレ動向からFRBの利下げ時期を探る展開が続く。市場ではFRBが3月に利下げへ踏み切るとの観測が優勢となっているが、直近で米クリーブランド連銀のメスター総裁はこの見方を時期尚早と否定し、強い米12月CPIがこれを補強した格好だ。

 目先は12日発表の米12月PPI(生産者物価指数)で物価動向を改めて確認。週明け以降も米1月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米12月小売売上高、米12月鉱工業生産、米12月中古住宅販売件数、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数と重要経済指標が相次ぎ、ベージュブック(地区連銀経済報告)も公表される。米景気の思わぬ好調ぶりが示されればFRBの早期利下げ観測を一段と弱める結果につながり、日銀が能登半島地震の影響で金融政策正常化が遅れるとの見方も広がる中、ドル買い・円売りが強まる可能性がある。

 その他、この週はFRB高官の発言機会が多数予定されている。当局者が金融政策に関する発言を控えるブラックアウト期間に入る直前でもあり、ひときわ注目されそうだ。

 ドル・円はチャート上で、75日移動平均線の1ドル=147.33円(1月11日基準)を見据えた展開を予想。下方向では25日移動平均線143.29円近辺がサポートラインとなる。

提供:ウエルスアドバイザー社

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