<新興国eye>ルーマニア中銀、予想通り金利据え置き―市場は当面、据え置き予想

新興国

2024/2/15 8:46

 ルーマニア国立銀行(中銀)は13日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 また、中銀は主要政策金利のプラス・マイナス1ポイントのレンジの上限としている、市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利も8.00%に、下限にあたる資金吸収のための預金金利も6.00%に、いずれも据え置いた。

 中銀が金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率についても、自国通貨建ての預金準備率を8.00%、外国通貨建ての預金準備率も5.00%にそれぞれ据え置いた。

 中銀は急速なインフレ上昇を受け、21年10月会合で3年5カ月ぶりに利上げを再開。23年1月会合まで11会合連続の利上げを実施、利上げ幅が計5.75ポイントに達したことを受け、同2月会合で利上げサイクルを休止した。これで据え置きは9会合連続。金利水準は依然、10年以来13年ぶりの高水準にある。

 中銀は会合後の声明文で、金利据え置きを決めた理由について、前回1月会合等同様、最近のインフレ低下と中東情勢の見通しの不確実性を挙げた。インフレについて、中銀は、「インフレ率は23年12月に前年比6.61%上昇と、11月の同6.72%上昇や経済予測を下回った。9月の同8.83%上昇から2.22%ポイント低下、インフレ率は予想よりも速いペースで低下している」とし、その上で、今後のインフレ見通しについて、「最新の2月経済予測に基づくと、インフレ率は1月に際立って低下したあと、12月には予測値近く(4.8%上昇)にまで低下、25年末には物価目標の許容範囲(1.5-3.5%上昇)の上限に収束する」とし、ニュートラル(中立)なバイアス(金融政策に対する姿勢)を維持している。

 しかし、中銀はインフレ見通しに対する上振れリスクについて、「(国や地方の)公共セクターの賃上げ動向や年金(の引き上げ)に関する新法や、将来実施される財政健全化のための財政・予算措置からも重大(Significant)な不確実性とリスクが発生する」とし、依然、強い警戒感を示している。同国の財政赤字は24年GDP比5%に達すると予想され、また、賃金と年金の引き上げ圧力にも直面している。

 また、中銀は中東情勢についても、前回会合時と同様、「中期的なインフレ見通しに対する不確実性とリスクはロシア・ウクライナ戦争や中東紛争、欧州、特にドイツの予想を下回る景気後退から引き続き生じている」とし、「入手可能な最新の経済指標と、こうした最近の不確実性の高まりを考慮し、金利据え置きを決めた」としている。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「持続可能な経済成長を達成し、中期的にインフレ期待を抑制、インフレ率を物価目標(2.5%上昇プラス・マイナス1ポイント)に戻すことを目指す」とし、景気支援とインフレ抑制の両立を目指す考えを改めて強調したが、「中期的な物価安定の達成に必要な手段を講じる用意がある」との文言を残し、追加利上げの可能性に含みを残した。

 市場では中銀はまだ、もう一段の景気刺激を求める、いわゆるハト派(金融緩和派)にはシフトしていないと見ている。中銀幹部もインフレリスクを警戒、利下げ開始の議論を始めるにはあと2-3カ月かかると指摘。また、最新のコア指数(調整後コア2)も23年12月は前年比8.4%上昇と、11月の同9.1%上昇(9月は同11.3%上昇)から低下したものの、依然高水準のため、24年上期まで現状維持を続け、利下げ転換は5月になると見ている。

 次回の金融政策決定会合は4月4日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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