【為替本日の注目点】ドル円はリスクオンから再び151円台後半に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
東京時間では150円台前半まで売られたドル円は、NYでは再び買われ151円75銭まで上昇。株価の上昇が続き、リスクオンからの円売りが続く。ユーロドルは1.09を挟みもみ合い。株式市場は前日に続き3指数が最高値を更新。ダウは269ドル買われ、初の4万ドルも視野に。債券は横ばい。長期金利は4.26%台で推移。金は大きく買われ、こちらも最高値を更新。原油は小幅に反落。
3月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 52.5
3月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 51.7
3月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 52.2
新規失業保険申請件数 → 21.0万件
3月フィラデルフィア連銀景況指数 → 3.2
2月景気先行指標総合指数 → 0.1%
経常収支(10-12月) → -194.b
2月中古住宅販売件数 → 438万件
マーケット情報
ドル/円 151.02 ~ 151.75
ユーロ/ドル 1.0856 ~ 1.0917
ユーロ/円 164.53 ~ 165.02
NYダウ +269.24 → 39,781.37ドル
GOLD +23.70 → 2,184.70ドル
WTI -0.20 → 81.07ドル
米10年国債 -0.006 → 4.267%
本日の注目イベント
日 2月消費者物価指数
独 独3月ifo景況感指数
英 英2月小売売上高
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、対談に参加
米 FRBのイベントで、パウエル議長開会挨拶
米 バー・FRB副議長、オンラインイベントに参加
加 カナダ1月小売売上高
昨日の東京時間ではドルの上値は重く、ドル円は150円台前半まで売られましたが、NYでは再び上昇し、151円75銭までドルが買われています。日銀が金融政策の変更を決め、FOMCでは一部には年内の利下げ回数を2回と予想する向きもある中、依然として3回利下げの予想を維持したFRBでしたが、ドル円の上昇傾向は止まりません。昨日のNYでは特にドル円を買い上げる材料はなかったものの、株価が上昇し、主要3指数が連日で最高値を更新したことで「リスクオン」の流れが加速し、低金利の円が売られました。日米の株式市場では連日「史上最高値更新」が続いており、確かに円が売られ易い状況ではありますが、それでも前日に続き、昨日もここ数年間抜け切れずに押し戻されてきた「岩盤の水準」である151円台後半まで買われたドル円。「リスクオン」だけでは説明がつかない、何かがあるようにも思えます。結局上に行きたがっているということなんでしょうが、個人的にはここから大きくドルが上昇するイメージは持ちにくいところです。ただ、この水準が岩盤であるだけに、ここを明確に抜けたら153-155円も無いとは言えませんが、その際は実弾介入との闘いになるはずです。
主要中銀が政策金利の据え置きを決める中、スイス中銀(SNB)はFRB、ECBに先んじていち早く「利下げ」を決めました。スイスでは昨年6月以降消費者物価指数(CPI)が目標の2%を下回る状況が続いており、SNBのヨルダン総裁は、「過去2年半のインフレとの闘いが功を奏した」と述べ、政策金利を1.5%に引き下げることを決めています。SNBはインフレとの闘いに「勝利宣言」したことになります。因みに、昨日はノルウェー中銀が政策金利の据え置きを決めており、トルコ中銀は予想外の「利上げ」を決定しています。年3回の利下げを予想するFRBに対して、タカ派のサマーズ元財務長官はブルームバーグ・テレビジョンの番組で、「米金融当局は利下げを開始したくてうずうずしている印象を受ける。なぜそんなに急いでアクセルを踏もうという話になるのか理解できない」と語っていました。
米国、カタール、エジプトの仲介によりイスラエルとハマスとの停戦交渉が合意に達するとの見方も出ている中、イスラエルのデルメル戦略問題相は21日、「米国を含む全世界が反対しても、最終的にパレスチナ自治区ガザ南部ラファに侵攻し、イスラム組織ハマスを打倒するだろう」と述べ、その上で、「われわれはこの責務を完遂する」と明言しています。また、19日にバイデン大統領と電話協議を行ったネタニヤフ首相も、「地上侵攻する以外に方法はないと、バイデン氏には明確に伝えた」と話しています。デルメル氏は来週初めにワシントンに向い、ブリンケン国務長官などと会談する予定だそうですが、「米国が言っているのは、ラファから大勢の人々を移動させ、人道支援を大幅に拡大する信頼に足る方法がなければ、これをどう行えるのか分からないということだ。そして、イスラエルは、市民の移動が必要だという点で米国に同意する。この人々に人道支援が必要だという点も同意する。われわれはそれが可能だと確信していると言っている」と語っており、停戦が近いと予想していた筆者も再び見通しを元に戻さざるを得ません。
NYで151円75銭まで反発したドル円は、今朝の時点でも高値圏で推移しており、昨日の動きとはやや異なっています。151円台半ばを維持することが出来れば、上記「岩盤水準」を再度テストし、ブレイクを試みる可能性もありそうです。
本日のドル円は150円50銭~152円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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