【為替本日の注目点】ドル円は再び157円台後半に

為替

サーチナ

2024/5/1 10:24

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は再び上昇し、157円85銭まで買われる。米第1四半期雇用コスト指数が1年ぶりに大幅上昇していたことが材料に。ユーロドルは1.07を挟むもみ合いが続く。株式市場は3指数が大幅に反落。根強いインフレ指標を受け、ほぼ全面安の展開に。債券は反落。長期金利は4.68%台に上昇。金は50ドルを超える大幅安。原油も続落。

1-3月雇用コスト指数 → 1.2%

2月ケース・シラ-住宅価格指数 → 6.38%

2月FHFA住宅価格指数 → 1.2%

4月シカゴ購買部協会景気指数 → 37.9

4月消費者信頼感指数 → 97.0

マーケット情報

ドル/円 156.82 ~ 157.85

ユーロ/ドル 1.0665 ~ 1.0723

ユーロ/円 167.90 ~ 168.59

NYダウ -570.17 → 37,815.92ドル

GOLD -54.80 → 2,302.90ドル

WTI -0.70 → 81.93ドル

米10年国債 +0.066 → 4.680%

本日の注目イベント

英 英4月製造業PMI(改定値)

米 4月ADP雇用者数

米 4月ISM製造業景況指数

米 3月雇用動態調査(JOLTS)求人件数

米 4月自動車販売台数

米 FOMC 政策金利発表

米 パウエル議長記者会見

米 企業決算 → ファイザー、マスターカード、KKR & Co、AIG

 今週29日(月)の外国為替市場で円が5円以上も急騰した背景は、言うまでもなく政府日銀による「実弾介入」だった可能性が強まりました。日銀が30日に公表した5月1日の当座預金増減要因の予想値と市場の推計値との差が約5.5兆円だったことから、この規模の「円買い・ドル売り」介入を行ったと推測できます。外国為替市場では個人投資家が当社でFX取引を行い、売買の差額である円を受払いする「差金決済」とは異なり、実際に資金決済を行います。政府日銀が売ったドルを2営業日後に支払い、相当額の円を受け取ることになることから、円の動きを捉えれば、ある程度の介入額を推計することが出来ます。財務省の神田財務官は30日にも、「介入にはノーコメント」と述べていましたが、介入したかどうかを明らかにしないことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。資金の動きを見ればある程度推測出来てしまう以上、はっきりと「介入を行った。今後も必要と判断すれば、かなりの規模を持って介入を行う用意がある」とでも話し、毅然とした姿勢を見せた方が、より効果があるように思えますが、どうでしょう。

 ドル円は昨日のNYで再び157円台後半までドルが買われました。米第1四半期の雇用コスト指数が前期比「1.2%増」と、1年ぶりの大幅上昇だったことで、賃金上昇圧力が続き、インフレを高止まりさせるとの見方からドルが買われ、債券が売られ、株式市場はほぼ全面安の展開でした。また金利高から、金も大きく売られています。明日の朝方発表のFOMC会合では政策変更はないものと思いますが、上記のような強めのデータを受け、パウエル議長がどのような発言を行うのかが注目されます。6月会合での利下げ開始の可能性はほぼなくなり、年内どのタイミングで利下げを行うのか。そもそも利下げの可能性が残っているのかどうかもヒントが欲しいところです。年内の利下げの可能性を排除することはないと思いますが、利下げ開始までの「期間」が焦点になります。

 イスラム組織ハマスは、イスラエルが提示した休戦案に近く回答する見通しもあり、ブリンケン米国務長官もイスラエルがガザ地区南部のラファへの地上攻撃を停止させるための外交活動を積極的に行っていますが、イスラエルのネタニヤフ首相は攻撃的な姿勢を崩してはいません。ネタニヤフ氏は、「すべての目標を達成する前に戦争を止めるという考えは問題外だ。われわれは完全な勝利を達成するために、合意の有無にかかわらずラファに入り、そこにいるハマスの部隊を排除する」と話しています。(ブルームバーグ)イスラエル国内からもネタニヤフ政権に対する非難の声が高まり、大規模なデモも広がる中、ネタニヤフ氏は「何かにとりつかれたかのように」ハマス殲滅の意志を変えていません。

 規制された通貨取引市場としては世界最大のCME(シカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジ)によれば、政府日銀が市場介入したと見られる29日(月)の同社のEBSスポット取引プラットフォームで、ドル円は770億ドル(約12兆1300億円)余りが取引されたことが明らかになりました。同取引は26日(金)の310億ドルから急増しており、直接か間接かは分かりませんが、当局はEBSなど電子ブローキング経由で介入を実施した模様です。

 本日のドル円は156円30銭~158円80銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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