【GW特集】注目株(5)――Arent:建設DXで高成長期待、株価反騰へ

 Arent(5254)は、建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を追い風に高成長が予想される。

24年問題解決に貢献

 建設業界では作業員の高齢化を要因とした人手不足が大きな課題となっている。建設就業者のうち、55歳以上の高齢者は35.9%(2022年時点)を占め、全産業(31.5%)と比較して高い水準にある。

 中でも65歳以上は51万人程度(約17%)おり、大半が今後に引退するとみられるだけに、事態は深刻だ。また、建設業でも残業時間の規制が4月に強化され、物流業界と同様の「24年問題」が浮上、人手不足に拍車を掛けている。工事が後ずれするケースも目立ってきている。

 Arentは、建設業や製造業の施工や管理システムを構築し、省人化や作業の効率化につながる企業のDXを支援する。建設現場ではBIM(3次元モデル)化も遅れており、潜在的なIT化のニーズは大きい。

 同社は今6月期に大手建設会社との共同開発案件が収益に結び付くほか、新規プロジェクトも順調に獲得し、連結営業利益は11.4億円(前期比61%増)と前期に続き、過去最高(前期は7.1億円)を大きく更新する見通しだ。建設DXに対する補助金も同社の業績拡大につながる。

調整済みの株価は上値余地大

 Arentはシステム構築にとどまらず、経営コンサルティングや新規事業の開発支援も手掛ける。千代田化工建設(6366)と折半出資でJV(ジョイントベンチャー)を設立、プラント設計に関するソフトウエアをライセンス販売するなど、他社との業務提携にも積極的だ。

 3月には高砂熱学工業(1969)と共同で見積もりから施工、運用管理までの業務プロセス全体をデジタル化したSaaS(サービスとしてのソフトウエア)プラットフォームを開発し、サービスを開始した。職人のノウハウ共有するためのスキルのデータベース化も図られ、今後の採用増が見込まれる。

 Arentは昨年3月に新規上場し、同年6月には上場来高値となる7540円まで買い進まれたが、その後は東証グロース市場からの資金離れもあり4000円台まで調整した。ただ、社会問題の解決に貢献する高成長期待を背景に、反発余地は大きい。

(片岡利文)

(写真:123RF)

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