来週の東京外国為替市場見通し=雇用統計通過後はFRB高官発言を注視
予想レンジ:1ドル=154円00銭-158円00銭
4月29日-5月1日のドル・円は下落した。前週末の日銀金融政策決定会合が円安容認と捉えられ円売りが加速し、週初4月29日に一時1ドル=160円の大台に乗せたが、その後は日本の通貨当局による為替介入とみられる動きから154円台まで急落した。30日、米1-3月期雇用コスト指数が市場予想を上回り、反発。5月1日、FOMC(米連邦公開市場委員会)が事前の予想ほどタカ派的ではなく、伸び悩んだ。その後、日本当局の再度の円買い介入と思われる動きから、157円台で推移していたドル・円が突如153円台まで急変動する場面があった。
ドル・円は、引き続き日本の為替介入への警戒が重しとなるものの、基本的には米国の金融政策次第という状況に変わりはない。直近のFOMCでは市場予想通り6会合連続で政策金利の据え置きを決定。声明文ではインフレ鎮静化に向けたさらなる進展が見られないと指摘し、早期利下げへの慎重姿勢が示された。一方で、量的引き締めはペースを減速。また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は会見で、市場の一部でくすぶる利上げの可能性をけん制した。
目先は3日発表の米4月雇用統計が焦点となる。米労働市場の力強さが示されれば米利下げ後ずれ観測を一段と補強し、ドル高圧力が強まる可能性がある。雇用統計通過後は、週を通してFRB高官の発言から米国の金融政策スタンスを探る展開。9日には4月25-26日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表予定で、日米金融政策の温度差が改めて意識される場面もありそうだ。経済指標では米5月ミシガン大学消費者信頼感指数、同大学調査の期待インフレ率、米4月財政収支などが発表予定。米国債の入札結果および米長期金利の反応にも注意したい。
ドル・円はチャート上で、日本の為替介入が警戒される中でもドルの底堅い基調が継続し、FOMC前に付けた158円近辺までの戻りを試す展開を見込む。一方、下方向では為替介入でも円安トレンドを転換するには至らず、25日移動平均線の153.72円(5月1日基準)近辺で下げ渋ると予想する。
提供:ウエルスアドバイザー社
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